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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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新しい世界へ

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 私は基本が大好きなタイプです。

 あまり進捗を急ぎません。

 基本が好きすぎて「もう基本はいいから」と先生たちに呆れられるくらい基本の追及を大切にしています。

 なので、自分が師父になってからもいただいた物のうち、基本に属するものばかりやっていて高級な物は歳をとった時の楽しみにでもとしまっておりました。

 しかし、先日ちょっと、気功の高級な物の方に一つ歩みを進めてしまいました。

 というのも、金華と玉津という物についてわかってきたからです。

 金華というのは光、玉津とは玉泉、甘露ともいわれる液体のことです。

 いままで習ってきたことのなかに、光を用いるという物がありました。

 それはイメージだとも言われていて、正直よく分からなかったのですが、この光、前に「意」について書いた時に触れたかもしれませんが、松果体(神堂)が感じる光だということが見えてきたのです。

 うちの師父の教え方もそうなのですが、先に上のレベルの正解を教えておいて、それが分かるまでほっときます。

 何年も。

 そして、自力でそこにたどり着いたときに「あぁ、あれこれじゃん」と思い至るようになっています。

 いわば鍵だけ渡されたまま旅に出ていて、いつかそれがはまる扉や錠前に出くわす、というような。

 たとえば、内の師父はある時、会派の名前を「白い光」という意味の物に変えました。

 それは、大切なのが白い光だからだ、ということで、私は無垢さや善意のような物の象徴なのだと解釈していました。

 でも、あぁそれ、私が良く見る金華のことなんじゃないの?

 と何年も経っていまごろわかりました。

 となると、これまで行ってきたみんなに、この金華を「意」として用いていいってことなんじゃないの?

 というわけでいま、その段階に入ってまた全体を再構築しているところです。

 このパターンで、これはいつでしょう、今年の一月くらい、去年の末かに、ちょっと拳を打ってみろと師父に言われたことがあったんですね。

 こういうのは定期的にあります。

 それで、まぁいつも通りにチェックされまして。

 私もまあ、何年もこういうことをしているから、いつもチェックされても大丈夫なように練習をしているのですけどもね。

 見終わって、師父が言いますには「上手いなと思ったけど、もっと小指のセンを使うともっと良くなる」と言われました。

 このね、師父や大師のこの武術の見識というのはすごいのですよ。

 もう、前もってどのくらいでどの段階に達して、そうしたら次にどっちに行かせればいいのかというのが掴めている。

 そこで私も感心しながら、なんとなく意識してここまでやってきておりました。

 小指というのは、経脈で言うと心臓の経脈が通っているところだとされています。

 それと小腸。

 中国の古い考えでは、全身を通る力の流れである経脈には、それぞれ内臓の力が通っているとされています。

 そう。

 だから、武術のような運動をするときにも内臓から力を引き出すと言うような考えをするのですね。

 この、小指のセンについて指示されたときの前後に、肝経の力を引き出すようにと言われていました。

 もっとも武術の基本で使うのは、督脈と任脈という大きな力のラインです。

 督脈は背中を走る物で、またの名を陽経とも言います。

 任脈は体の前側で、こちらは陰経とも言います。

 この二つを練っていくとだいぶ大きな力が使えるようになるのですが、肝経とは体のサイドにある物です。

 この三つ、ポール・ウェイド先生の身体理論で言うと、それぞれバック・チェーン、フロント・チェーン、ラテラル・チェーンとなります。

 でもってですね、私はこの数か月、肝経を意識して引き出しながらも、なんとなーく小指のことも意識して練習していたのですね。

 これは当然、キャリステニクスをするときもそうなります。

 私は伝統武術の師父なので、武術だけでなく日常すべてがこの身体理論の元に行われることになります。

 ダンスもしかり、キャリステニクスも当然。

 そして少しづつ感覚が進んできたような中で、最初に書いた金華の教えの謎に気づいたのです。

 そこで、気功の段階を進めて、難しいのでやってこなかった内臓の気功に入りました。

 どうもいままでの意だとちょっと難しい気功をするには頼りなかったのですが、より明確な金華を用いれば迷わずに行えるのです。

 やってみた感覚がとても強い。

 これなら迷いません。

 効果もてきめん。

 そうなると、今度は逆に、内臓の感覚が強くなったのでそれを経脈を動かす方に活用できるのですね。

 結果、拳術が良くなりました。

 ほとんど内臓の勁主体で打てます。

 手足の意識はほぼ使わない。

 拳打も脚打も内臓を動かすことで放てます。

 これは、小指のセンを活用した結果です。

 昔、私にダンスの高級な部分を教えてくれた先生は「私は内臓で踊っているのだ」と言っていました。手や足で手や足を動かしているのではないのですね。

 それに共通するお話です。

 そして、こうなってきたのと期を同じくして、八か月ばかりやってきたアンイーヴン・プルアップに違う感触が出てきました。

 非常に強くなっている感覚があります。

 それも、やはり肝経を使って上げている感覚があります。

 それでね、これはひょっとしたら行けるのではないかと思ってワンアーム・アンダー・ハーフ・プルアップに挑戦してみました。

 これは、片手でぶら下がってそのまま身体を持ち上げる物です。

 一般的には、片手懸垂を目指すトレーニーはワンアーム・シュラッグと言って片手でぶら下がって、肩の筋肉だけ引き上げる練習をするそうなのですが、私は肘を曲げにかかりました。

 そうして半分まで行けばこの練習のゴールとなります。

 普通はこのやり方はしないのです。

 なぜなら、ハーフの片手懸垂は普通、腕を半分に曲げてるところからスタートしてそこから上でやる物だからです。

 下まで腕が伸び切ってしまっていると、そこから身体を引き上げるほうが難しいようなのです。

 なので、普通は上半分は出来ても下半分が出来ないので、これが出来てしまえばもうまるまる片手懸垂が出来ると言うことになります。

 でも、私は腕力ではなくてもとより東洋の身体理論でやっているので、内臓の勁を用いて下から上げられるのではないかと思ったのです。

 結果、初回から半分まではさすがにいけませんでしたが、その半分くらいまでは連続五回いけました。

 両腕ともです。

 そして両腕とも、やってるときは「お、いけるな?」という感じなのですが、終わった瞬間から前腕の腱にすごい痛みが走りました。

 嫌な痛みではありません。効いているのです。

 あ、こんなところ使ってたの、と痛みによって腱の存在を思い知らされました。

 感覚によって勁を導く、という蔡李佛拳のシステム通りです(そしてその結果、蔡李佛は疲れるし痛い武術と言われています……)。

 これはね、適切な間隔をあけて行っていけば、着実に強くなると手応えを感じました。

 単純に、同じ運動を八か月もウェイトも使わずやって意味があるのかとも思われるのですが、問題はやり方。

 ちゃんと正しいやり方を追求すれば、負荷はやるたびに上がります。

 結果、きちんと私の身体は強くなっていたのですね。

 しかも、内臓の力を強くするという形で。

 小指の経脈は、肝経の方に繋がってゆきます。

 これらは密接につなげて使えると言っていい。

 それが連絡したから、おそらくこの状態に至ったのでしょう。

 大きな理論で正しく行えれば、すべては一つにつなげて出来るのです。


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