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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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ニュー・ノーマルの世界を観ている人達

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 少し前に、映画の特撮監督の方のお話を聴きまして。

 その方のしていたお仕事もいま、みんな止まってしまっているそうです

 しかし、撮影再開を想定しての仕事は進めている訳で、その中で非常に意識していることがあると言っていました。

 それは、もう、これまでのシナリオに書いてあったような向き合って話をするシーンとか、集まって居酒屋に居るシーンなどはみんな無しにするということです。

 今後の世界の在り方として、それは説得力が無いというのです。

 映画はフィクションですし、ましてや特撮監督の方が作る映画なので、いくらでもそこはお話の中のルールでどうにもできるところです。

 過去の世界での話ってことにしてもいいわけですし、古き良き世界を偲ぶと言う効果を狙ったってよいでしょう。

 でも、逆に言えばリアルな虚構を作りたいと言う特撮映画の信念として、そこに落とし込みたくはないということなのでしょう。

 現実を追求するからこその特撮映画魂ということでしょうか。

 この監督が言うには、みんなが凄いと言う自分の作品も、振り返ると気になるところがあるということです。

 例えば、ミニチュアを本物に見せる時に、どうしても解像度の関係で画面がわずかに歪んでいたりするのだそうなのですね。

 おそらくそれは、ほとんどの人が気が付かないレベルなのだと思うのですけれども、もともと大きい物をそのまま映すのと、小さい物を大きい物として取るのだと、どうしても当寸の物をそのままの大きさで見せるのだと差が出るのだそうなのですね。

 光の粒子というものもありますからね、そこは本当に分かる人たちにとっての高いレベルのお話なのでしょう。

 そういう、厳しい目で現実を観ている人が、前までの世界はもう戻ってこないと見ている訳です。

 そして、昨年話題になった上田監督という映画監督がいらっしゃいますね。

 この方が、上の話についてどう思うかと質問されました。

 すると、やはり今後の撮影に関しては同じように見ていて、監督曰く「(業界の)水面下では」そういう動きがある、と言っていました。

 つまり、もう大多数に発信する映像の世界では、世界は元のようには戻らないというのがデフォルトとしてみなされている訳ですよね。

 映画というのは作るのに何年もかかります。

 撮影再開までの年月をそれに足した後の、先の時代の話だとしても、やはり元には戻っていない態で全体が進行している訳です。

 オリンピックのバッハ会長も、散々粘った挙句に延長後の五輪の開催は現実的ではないという言葉をこぼしました。

 一方で、フィリピンではロックダウンが緩和した直後に交通渋滞が起きて、市長が激怒してまた厳しくすると発言をしたりしています。

 また、日本でもパチンコ店に行った議員が報道されました。

 行動の制限が緩和されることと、不要不急でなくても外出して大丈夫だということは全然違うことです。

 結局のところは、どれだけ現実の事態を正しく見れているかという、個々人の認識能力の差がここにきて如実に現れているということなのではないでしょうか。

 世界の現実が見えない人にとって、これからの世界が生きやすいとは私は思わないけどなあ。


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