ここでね、色々な記事を扱ってきていますけど、まぁ政治的な記事や社会問題的な記事は書いてて楽しくはないです。
楽しいのは、武術と民俗学についての記事です。
以前から、仏教圏の文化と東洋の身体哲学、それを民間伝承について書いてきました。
かぐや姫や桃太郎がヒンズーの神話にルーツがあるらしいなんてことを書いてきました。
今回も、その桃太郎さんのお話について書いてゆきたいと思います。
桃太郎さんと言えば岡山、岡山と言えば桃という印象がありますが、岡山県が桃の栽培を始めたのはどうも後付けらしいんですね。
桃太郎伝説が名物になってから始めたのだということを聞いたことがあります。
では、どうしてその岡山県が桃太郎の舞台になったのでしょうか、というと、これ、どうも鬼伝説のためらしいんですね。
元々岡山には鬼が至って話が合って、それを退治する英雄の話として、あとから桃太郎伝説が付加されたようなんです。
この岡山の鬼伝説で有名なのが、お相撲さんの四股名にもなった温羅ですね。
鬼の王様で、跳んでくる矢を見てから石を拾って打ち落としたという物凄い能力のあった温羅はウラー! と叫ぶからロシア語圏の外国人のことなのではないか、という話などが昔から言われています。
私が好きだったマンガ「The momotaro」でもこの説が採用されていました。
都に現れた酒呑童子はシュテンドルフだということになっていました。
岡山と言うのは、私の研究の一つ、海賊武術において実は話題によく上る土地です。
ですので、外国人勢力がそこに根付いていてもおかしくはない。
しかし、それだけでなくてどうも妖怪と親和性が高いと言う特徴があるようなのです。
マンガ日本昔話に「キツネが笑った」と言うお話があります。
これは岡山に伝わる民話で、峠の茶屋で働く娘の所に、槍を担いだ武者修行が通りかかるところから始まります。
岡山と言うのは、日本柔術の発祥の地、柔所として知られている場所です。
面白いのが、少林拳と同じくこの岡山の柔、後年の素肌柔とはちょっと違って、兵器が大きな要素となっているのです。
特に、小具足と呼ばれる鎧どおしの術や棒術の名が高いようです。
ですので、岡山の武者修行で槍を担いでいる、というのはイメージとして決して奇異な物ではありません。
武者修行と言えば普通は刀なのですが、柔所ではタンポ槍など用いての修行をする者も居たのでしょう。
この武者修行、茶屋の娘にええところを見せたくて槍の型を打っていたところ、夢中になりすぎて正体がばれてしまい、不覚不覚と二人で笑って去って行った、というのがこのお話です。
実に爽やかだし、妙に品が良くて気持ちの良いお話です。
中国武術における、神仙や妖怪と武術をしたと言うようなお話にも通ずるところがあります。
私もキツネと武者修行したい。
このように、岡山と言う土地には元々、鬼や妖怪、尚武の気性と言う物が身近に根付いていたのではないかと感じられる要素が散見されます。
つづく