ネパール最大のお祭り、ダサインにまつわるシャクティの物語のことを前回は書きました。
その中で、性的エネルギーが化身してアスラ神族の王を討ち果たすという物語のことを書いたのですが、この時のこの悪神のシンボルが牛です。
本来は牛はヒンズーでは神聖な物なのですが、ここでは悪者です。
つまり、悪魔が神聖な物に化けたという偽物だからです。
この牛、ここのところよくこちらでの記事に出てきますね。
牛鬼です。
日本の歴史においてはこれは肉食の異民族や海賊のことではないかと書きましたが、こちらで書かれているのは間違った悟り、魔境のことでしょう。
あるいは、この悪の牛のイメージが、仏教の伝来に付随して日本に伝わってきて牛鬼伝説となったのかもしれない。
この、ダサイン祭のお話がとても気に入った私は、その日のお昼にはいわゆるインネパ料理店に行きました。
近所に行きつけがいくつかあるのです。
店に入るなり「ハッピー・ダサイン!」とあいさつをすると、店員さんが偉く気に入ってくれて話が盛り上がりました。
「なんでネパールのこと知ってる?」と訊かれたので、ネパール人の友達がいるし、昔の彼女がバングラデシュに居たので、インド文化圏については彼等から少し聞いたのだと答えると、いまは彼女は居ないのか? と言います。
居ないと答えると、自分の知っているネパールの子を紹介すると言われて、連絡先を交換することになりました。
外国の人からこれを言われたことがこれまでにもあります。
アジアの人はもしかしたら、こういう千葉真一や渡辺謙のような顔をしていて体格のいい男が好きなのかもしれません。
あるいは文化的に、私が行っていることで発しているかもしれない気配のような物に敏感なのかもしれません。
もしくは彼らの文化に関心が高くて色々聞くからかもしれない。
以前に別のネパールの人から聞いたのですが、彼らのシンボルはククリです。
くの字型に内側に湾曲した山刀で、これの名を冠したラムも有名です。
彼らはこのククリのシンボルを帽子に着けていたり、タイピンに用いていたりします。
いまでもこのククリを帯刀していて、喧嘩沙汰になると抜き打つのだと言います。
ククリはまたの名をグルカ・ナイフとも言います。
帝国時代のイギリスが雇っていた、グルカ族の傭兵たちが持っていたからそう呼ばれるのだ、というのですが、イギリス人たちのいうグルカとは実はネパールのことです。
元々ネパールにゴルカという地名があったので、そのままネパール人全体をゴルカから訛ってグルカ人と呼んでいたそうです。
つまり彼らは、近代史に名を残した戦闘民族なんですよね。
インド料理店がネパールの人達の職場になっていったのは、インド人と較べてネパール人が優しくて礼儀正しいからだと言います。
しかし、その実態は世界に名だたる戦闘民族。
尊敬できる人達のような気がします。
そして、本当に私のシャクティは紹介してくれるのかなあ。