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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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限りある命を有効に使って生きる

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 私がいまトレーニングの参考にしている筋トレユーチューバー氏が、近々コンテストに出るのだと猛練習をしています。

 だいぶ仕上がってきて数字を発表したのですが、現在体脂肪は一桁で7パーセントくらい。筋肉体重はというと、72キロでした。

 カメルーン出身の黒人種の方なのですが、本人曰く「アフリカじゃザコ」「日本だから大会に出られている」とのことで、この国ではステロイドを疑われるくらいに大きいのですが、本人が曰くには絞ってバキバキなだけで決して遺伝子的な同族と比べると大きい方ではない、とのことのようです。

 まぁ確かに、そこまで体脂肪を絞ってギリギリに痩せてなお体重が80キロを越えるというのは日本人では中々いそうにありません。

 たとえ180センチあったとしても、日本人ボクサーなら軽い階級に出場します。

 私が現役時代、当然いまと身長は変わらないのですが体脂肪一桁で体重は60キロ未満。

 彼とはくらべものにもなりません。

 今回面白いと感じたのは、彼の筋肉体重です。

 先に書いたように、私と彼とは比べ物にならないくらい身体能力的に差があります。

 しかし、私の筋肉体重は62キロ以上。

 以外に彼とは10キロしか変わらない。

 いや、筋肉でそれだけ変われば充分違うのですけれども、けれども筋肉のプロフェッショナル、しかも本人自ら「日本人とは遺伝子的に比べ物にならない」と豪語しているマッスル・エリートと比べてこれなのだから、私もまぁまぁ悪くはないでしょう。

 なぜなら、私はジムに行かないしウェイトも握らないしプロテインさえ飲んではいません。

 ここで別の角度から筋トレ業界に目を向けてみましょう。

 一般に、純粋に筋細胞は一年に1キロも付けばよい方だと言われています。

 そして、平均的な日本人男性の筋肉重量は20キロ未満。

 つまり、二十歳くらいで成長期が終わってボディビルで筋肉をつけ始めたとして、四十代の前半でだいたい全部で40キロの筋肉が手に入る可能性があります。

 私や、件の筋トレユーチューバー氏のような筋肉量にはならないのです。

 これ、以前にも書いたことなのですがもう一度書きますと、その見た目のインパクトから受ける印象とは裏腹に、ボディ・ビルとは筋肉を付ける競技ではなくて、身体絞る競技だということになります。ステロイドの使用を避けた場合には。

 ボクシングと同じ、身体を絞る競技です。筋肉を付けることには楽しさがありますが、水分調整までして身体を絞ることにはまったく楽しそうな要素が感じられません。ただただ苦しそうなだけです。

 ですがこれは生理学上しょうがないのです。

 彼自身が言うように、遺伝子が違うから黒人種と日本人では比べ物になりません。

 血中テストステロン値では、日本人がステロイドを使ったくらいが初めて彼らの平均値になると言えるでしょう。

 とはいえ、大きく言うと結論としては同じです。

 あらゆる人が、筋トレを始めた段階から、生涯に獲得できる筋肉量は決まっているのです。

 日本人なら最大で一年に1キロです。

 もう一度繰り返しますが、ステロイドを使わない限りは。

 ですので、ボディ・ビルというのは絞る競技なのです。

 筋量の成長は限られている。だから付く場所を選択し、そして脂肪を削って美しい肉体を作り上げる。

 盛り付けるのではなく、彫刻することに真価があります。

 ですので、ボディ・ビル界では身長が低いほど才能があると言われています。体重は同じですから、骨格が小さい分だけマッチョになります。

 では、どうして小柄ではない私や彼は常人の1・5倍以上の筋量を持っているのでしょうか。

 それは簡単。子供の頃から運動を続けているからです。一年に1キロづつという筋肉獲得の投資を長年にわたって続けてきたから。

 彼は元々空手家で、7歳の頃から運動をしていてナチュラルに身体の土台が作られてきたからこそ、中年期になってボディ・メイクの専門家に転向が出来ました。

 元々運動をしていない人が、いきなり筋トレにハマって大きな体を獲得する、ということはまず無理なのです。

 一年で1キロということを繰り返してきましたが、1キロって嘗められたものではありません。

 水だったらペットボトルの1000ミリℓの大きさを想像してみてください。

 それが自分の身体の内部のどこかに埋め込もうとしたら、一体どこで出来そうですか?

 胴体と太ももは出来そうですね。

 太い人ならふくらはぎでも大丈夫そうです。

 でも腕は?

 でしょう?

 成人男性の腕の重さはだいたい1・6キロ位が平均だそうです。

 それではペットボトルの形を無視してしまうのは難しい。

 しかも実際には、胴体にも足にも骨や内臓などがあって空洞ではありません。

 1キロって言うのは多くの人が思っているよりもずっと体積があるのです。

 当然真水よりも筋肉はずっと比重が重い。けれども、人間には脂肪があってこちらは水よりも軽いですよね。

 よりリアルに、精肉売り場の1キロのお肉を想像してみましょうか。あれが、身体のどこかの筋肉一か所に付くとしたら、一気に体形の印象は変わるでしょう。

 分散してあちこちについても同じことです。

 しかも、そこには実際に血液や水分が入って膨らみます。

 ですので、1キロも急に肉が増えたら相当に筋肉が付いたような印象に見えてきます。

 なので大人になってからトレーニングを始めることには十分な価値がありますしぜひにしたほうが良いことです。

 いま話したいのは、人生において獲得できる筋量は極めて限定的である、ということです。

 ですので、可能な限り早めに自分の身体と向かい合い、可能な限り筋肉を付けるようにした方がいい。

 厚生省(現厚生労働省)が設定した健康日本21という目標でも、年齢ごとの運動が推奨されています。

 それが現在の健康はもちろん、老後の健康にも直結しているためです。

 最近、街中で老人専門のジムを見かけた方も多いのではないでしょうか。

 老後の怪我や寝たきり防止のために、筋力をつけることが重要だとされています。

 しかし、老人になってから年間に1キロの筋細胞を付けることはまず無理でしょう。

 ですので、それ以前から身体を作っておくにこしたことはないのです。

 老人以前、まだ30代、40代の段階で筋量が足りていない人、だらしない身体、あるいは軟弱な肉体しか持ち合わせていない人達に、この先のことをちょっと想像してもらいたいのです。

 このままだと、あなたの肉体はいまの段階がピークです。

 これから先、弱くなり続けることはないのです。

 それがここまで自分で選んできた人生の選択の結果です。

 私自身のことを言うなら、若い頃から酷い時代を過ごしてきて、振り返れば十年ばかり、刑務所に入っていたと思ってあきらめるしかないようなどん底の時代が存在しています。

 犯罪社会で暮らしていて、アル中で、なんの希望もなく、早く死んで楽になりたくて仕方なかった。

 でもその中でも身体は動かし続けていました。

 それがいま、こうして活きた結果となっています。

 これはつまり、どれだけ全ての努力が無駄だと思っていても、やり続けていたことが結果として無駄にはなっていなかったということです。

 これはつまり、生きるというのはそう言うことの繰り返しだということではないでしょうか。

 いまこの時、出来る限りのことをしておくことが、将来の自分の財産になる。

 逆にそれを侮ってさぼっていたら?

 もう取り返しは付きません。

 難しく考える必要はない。

 ただ習慣にすればいいのです。

 筋トレでも勉強でも善行でも貯金でも、ほんの少しのことでいいのです。それを生活習慣にすれば、必ずや将来が変わります。

 良い生活習慣が良い人生を作る。

 私もただ習慣で動いてきただけでした。

 それがいま、余人には手に入れることの出来ない筋肉のアドバンテージとなっています。 

 知性でも、教養でも、心の在り方でもしかりです。

 無駄に生きるな! よく生きましょう。

 自分の幸せのためです。


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