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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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家系ラーメンと伝統武術

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 皆さんは、家系ラーメンはお召し上がりになりますか?

 私自身はそれほど好んでいるわけではないのですが、地元が発祥の地である横浜であるために食べつけている感があり、時々なんとなく近場で食べることがあります。

 近年、あの味がある程度効率よく出せる方法が解明されたらしく、飲食チェーンなどが出しているお店が増えました。

 そのためにあちこちにそっくりな看板のそっくりなお店が大量にできています。

 味のほうはといえば、いわゆるライト系。まずくはないのですがそこそこと言った感じです。

 なので、ハンガーガー・チェーンなどで食事をとる感覚で、疲れているときなどに家路の途中にあると寄る、というような使い方が増えました。

 先日も、そのタイプの店構えの家系が近くにできました。

 しばらくは特にいかなかったのですが、やはり仕事帰りでくたびれているときに、食べるものを考えるのも面倒で、早くすまして帰りたいというようなときにそのお店によりました。

 早くすましたいから麺は硬めにしてもらって、そうだ、野菜も少し摂ろう、というようなことを思いながらお店に入ったら、店員さんの威勢のいい声が返ってきました。

 外国人留学生や二十歳そこそこくらいのバイトの店員さんではありません。体格のいいごつい職人さんたちです。

 カウンターの向こうを見たら、非常にきれいで器も凝っています。

 注文を済ましてトイレを借りたら、そこにはたくさんのロックシンガーの写真が貼ってありました。

 どうやらチェーンではないようです。

 洗面所に出れば、シンクの周りがビーズやモールでかわいらしくデコってあります。

 かなり一生懸命、思い入れを込めてお店を作っているのが感じられました。

 席に戻ってみると、卓上調味料もいろいろあります。

 しかも「にんにく」と書いてある器に入っているのが緑色のものです。

 これは行者にんにくでしょう。

 普通、家系などではすりおろしたにんにくをそのまま何日も放置していて、酸化させてしまっているため、ラーメンにすっぱ味を足してしまうというガッカリなことをしがちなのですが、実にこだわったものです。

 期待を高めながら待っていたラーメンですが、これがライトっぽくありながら実においしいものでした。

 また、麺も定番の製麺所のものではなく、このお店のために特注で作ってもらったモノでした。

 卓上からラーメン酢を取って試してみると、それ単体でもおいしいくらいです。

 これはすごいラーメン屋さんにあたってしまったと思いました。

 効率性だけを追求したいまどきの家系チェーンとはまったく違う、本当に職人さんが一から十まで選びぬいて作ったラーメン店です。

 これはね、きっとすごく苦労をする覚悟で出したのだと思うのですよ。

 私と同じく、多くの人が前を通ってもどこにでもあるいまどきの、まずくはない程度の店だと思ってしまうことでしょう。そういう印象がすでに広まっている中で、あえて家系のお店を出すのですから。

 素晴らしいものをいただきました。

 ラーメンもおいしかったのですが、武術も同じです。

 いまどきの適当にやってもそこそこに形になっているような由来のわからないものではなく、本当に腰の据わった伝統の物を、細部にまで意識を取り計らって人前に出すというのは、本当に大変なことです。

 それこそ自己流にして目新しい風の看板にすればもっと楽ができるのかもしれません。 

 しかしそこをしないで自分が正しいと思うことを貫く姿勢は、見習うべきことだと強く感じました。

 

 

 

 

 


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