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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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最近踊ってます

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 最近の体調を少し。

 とりあえず、即死の症状は切り抜けているようで、そちらは一年、一年半後に正常値になることを目指しつつ、当面の問題となった膝の痛みに付き合っております。

 二週間ばかりは注射をしなくてもなんとか逃げ切れるようになり、フィリピンへの帰還が見えてくるようになりました。

 ただ、多くの朝は、起きると右膝が固まっており、少しづつ伸ばしてゆかないと動きません。

 こうなってくると、過剰に動かすと負担は大きい物の、動かさないとかえって固まって悪くなり、またスタミナも落ちて行って免疫が弱くなっていくことに繋がってしまいます。

 そのため、加減しながらの運動をしていかないとです。

 となると、私の数少ない趣味であるダンスを再開し始めました。

 とはいえ、いきなり全力で踊ればまたもや一気に関節が腫れあがることでしょう。

 そこで、一日に三曲だけ基本のステップを試してみる、というところから初めていっています。

 先週くらいからは、本格的な踊りを一日に三曲程度までするようにしてなってきました。

 いまの季節はビーチパーティなどの楽しいイベントがあります。

 見知らぬ若い女の子たちをコロしては悦に入っている次第でございます。

 これが出来るのは、足を傷めている間に、足でステップをしないで体幹のムーヴを純化させてステップをする訓練をしていたからです。

 足が利かなくなったおかげでインナーが少し良くなりました。

 その結果をこうして野試合みたいなことをして第三者から評価してもらってるのですよ。

 こういう見てくれの悪いおじさんが、イケてるパーリーガールたちの手をダンスで叩かせるというのは結構なアウェー仕合での勝利と言って良いでしょうよ。

「レベルが違いますね」とか「先生ですか?」なんて言ってもらえるのは、素直に受け取っておりますよ。

 颯爽とお礼を言った後、足を引きずって去ってゆくのですけどね。

 まぁその程度までは回復してきたなとも思ったので、以前にもお世話になっていた女性の先生のレッスンにちょっと顔を出したりもしてみました。

 その先生のダンスがこちら。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=fBIEZyV-zaQ

 軸を動かさないで、形をモーフィングさせる動作が非常に特徴的です。

 中国武術でいう築基功の部分です。

 私はそもそも、中国武術の先生からそういう部分をダンスで学んできなさいと言われて始めたのです。

 今回のレッスンの後、この先生が言いました。

「踊る時に動きは絶対に途切れさせないでください。一筆書きで」

 これ、私が練習の時にいつも言っていることです。一筆書き。

 やはりこういうところが共通してるのです。

 ダンスが出来ない武術家は信頼できないというのが私の持論です。

 ただの無拍子の暗殺術のような物ならそれでいいのですが、身体を操るということで言うと、まともに立てない、歩けない、呼吸が出来ないという多くの自称武術家では話にならない。

 私自身、人に乞われてダンスのレッスンをすることがあるのですが、時々練習をしている最中に「ちょっと待って」と言う人が居ます。

「待ちません。音楽は止まらないから」

 そう、人間の勝手ではなくて、音楽という空気の振動がまずありきで、それに人間が合わせてゆくのがダンスです。

 つまり、これは実に気功的な行為なのですよ。

 アルキメデスは音楽に協調する舞踊によってエゴが消えて真理に至ると説きましたがまさにしかり。

 音楽とは決して途切れない音の連なりです。

 その連なりと一つになって、体重を振り回してよたらせたり遠心力で軸を持っていかれたりしないように、常に完全に制御された内側を維持しながら、外形の動きを紡いでゆくことがダンスには大切です。

 中にはヒップホップやバレエのように跳躍して重力による自由落下をする物も多いですが、私がやっているラテン系、アフリカ系のダンスというのは常に軸の力を大地に向かって打ち込んでゆくのですね。

 つまり、定力です。

 これをコントロールして、精神的駆け引きや前提作りという人間相手に通じる要素を一切省いて、ただひたすらに音という冷徹で客観的な現実と一つになってゆくということは、とても厳粛な訓練でありえます。正確に状況を読んで、冷静に判断する精神的な要素も重要です。

 だからこそ、私も普段の練習でも少しづつダンスの要素を取り入れているのですが、これを自分でやらない人がほとんどです。

 ちゃんとわかってて出来る人だけが着実にダンスの練習を地道に繰り返して内側の力を育んでいっています。

 洋の東西を問わず、ダンスをするというのは立ち居振る舞いの洗練させるための学習として行われてきました。

 動作が不細工な武術家というのはあり得ない。

 さらにさかのぼると、古代社会の多くではもっとも勇敢な戦士というのはもっともすぐれたダンサーであるということが珍しくない。

 自分の勇敢さと戦う能力を舞踊で披露し、求愛行為としても行われていました。

 中国武術における套路はこの流れを引いている部分もあるのではないかなあという気がします。

 また、フィリピン武術でもダンスの一部として行われていた歴史があると言います。

 やはり、踊れるというのは武術において本来切っても切り離せない部分であると思うのです。

 本当は、武術のためのダンス練習会っていうのをやりたいんですけどね。

 まだその重要性が分かってる人たちは非常に少なさそうです。


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