うちの生徒さんで、こないだセブに修行に行った方が現地の有名グランド・マスターから「他の国ではうまくいくけど日本ではどうも普及が上手くいかない」という言葉を聞いたそうです。
そうでしょうそうでしょう。
なにせ、フィリピンではもっとも有名な団体レベルですらまだ日本には公式な支部が存在していない。
モダン・アーニス連盟に所属している団体が一番フィリピン寄りですが、そこですら、モダン・アーニスの本拠地はアメリカという事実があります。
つまり、いまだアメリカ経由の物が首都圏にギリギリ存在しているレベルの普及度です。
その辺りから考えると、まともにこの武術を練習している日本人なんてせいぜい百人いるかいないか程度なのではないでしょうか(亜流や傍流は除く)。
それはね、やはり大きな団体が乗り込んできて場所や設備を整えて展開するには分母が少なすぎます。
フィリピン現地みたいに、そこらの公園やバスケット・コートで、という訳にもいかないでしょうし。
かく言ううちはと言えば、おそらくは日本唯一のフィリピン国営団体アーニス・フィリピネスの直系団体ですが、やはりそこらの公園や浜辺でやっとります。
国から発行されたマスター・ライセンスは、身分証明書うとしてはフィリピンの銀行でお金の両替をするときに提出しても、きちんとネットで照合出来たほどの信頼性のある物のようなのですが、いやいや、そのライセンスを持っていてもやはり日本での普及活動にはわりかし力が足りません。
情報化社会のため、フィリピン武術という名前だけは独り歩きしていますが、実際にはまだまだこれからなのでしょうねえ。
なにせ最も普及してそうな太極拳でさえ実際のところは殆ど伝わっていない。
本国でもどんどんフィリピン武術の姿は現代的な物に変わっていっていて、伝統的な物は消えてゆきつつあります。
ここでコツコツ遺すことに意味がある日がもしかしたら来るのかもしれない。