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悲しいこと

 先ほど、蔡李佛の高級套路だと言われている長拳について気になるところがあったので海外の師父がたの動画を検索していました。

 すると、おかしな動画に偶然ヒットしました。

 それは日本語での会話が入っているだけの動画で、その中で「最近蔡李佛で鍛えているのだけれど疲れる」というようなことが語られていました。

 アップした人の名前を見ると、どうも知っている人のようでした。

 どうやら表演の人らしいのですが、私が蔡李佛の師父だと知るとSNS上でいきなりなんの脈絡もなく「心意把以外の少林拳なんか使いもんにならねえんだよ!」と意味の分からない言いがかりをつけてきた人です。

 お前の腕じゃ使い物にならないというのならともかく、門派を丸ごといきなり罵ってこられたのでは、伝人として看過しておくわけにはいきません。

 以後遭遇したら必ずケジメを付けると周りにも伝えてある相手です。

 そのような人間が、いまそのようなことを言っている。

 結局、妬みやコンプレックスからの発言だったのでしょう。

 代々受け継がれてきた伝統や教えを大切に護っている人たちがいる一方で、平気で人が大切にしているものを自分の卑屈な精神を慰撫するためだけに汚して喜ぶような人間が、このように世界には確実に存在しています。

 以前に、自分が受け継いでもいない他門の武術を生齧りでうわっつらだけ見て盗む人のことを乞食功夫だと書いたことがありましたが、この乞食は盗むだけでは飽き足らず、人の持ち分に泥を掛けて喜んでいる。

 このような歪んだ精神の人間が誤った情報を大々的に発信しているのは、とても困ったことですし、悲しいことだと感じます。

 そしてこういった人間は、私が師父になって以来、定期的に現れてはひどいことをして周りを荒らしてゆきます。

 何が彼らをそのような情熱に掻き立てるのかは分かりません。

 こういった負のベクトルに物事を運ぶ力に対して、我々がどれだけ有効な対策が取れるのかも分かりません。

 ただ、見せかけと口先だけのそのような力の流れがあっても、私は粛々と伝授された物を練り、何代も前の先人が書き残してくれた書を読んで理解を深めてゆき、労力を費やして得た学識をしかるべき人に受け渡してゆきます。

 どれだけ意味の分からない嫌がらせで悪意のある誤解を広められても、人知れず本物を受け渡していって、この伝統を絶やしたり貶めたりしないようにしてゆきたいと思います。

 武術とはつまるところ、誠の一字に尽きるというお話を読んだことがあります。

 その一文字は、学究としての姿勢においても、人としての生き方においても、私は決しておろそかにしたくない。

 それをおろそかにする人間には、私は武術を伝えはしません。


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