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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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暗いVレイズ

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 前回の記事で書いた、内側の突っ張り。

 これ、一つ心当たりがあるのです。

 それは、症状が起きた前日、実はまたバーベキューをしていて、一日日向におりました。

 強い紫外線が体内に入ると、皮膚だけでなくて内側も日焼けをするのだそうです。

 焼けて痛い目にあったことがある人ならみなさんお分かりでしょう。焼けた肌は突っ張ります。

 内側でもこれと同じことはよく起きるのです。少なくとも私の経験上は。

 こうなると大変に内部から疲労して居心地が悪い。皆さんも日差しの強い日はお気をつけください。

 この内部の突っ張りへのデトックスにはビタミンEなどが有効だそうで、夏場にスイカを食べると生き返るのはこのためだとも聞いたことがあります。

 さて、わたくしもだいぶ回復いたしまして、相変わらずハンギング・V・レッグ・レイズをしています。

 このVレイズ、鉄棒などにぶら下がって両足を宙づりにした状態から、身体全体が横から見てVの字になるように、足先を頭くらいの高さまで引き上げる運動です。

 やってみると分かるのですが、一度は出来た人でも、二度目以降は一度目の反動が起きるので全身がブランコのように揺すられてしまうので上手く出来なくなります。

 数を繰り返すほどにその反動は大きくなり、どんどん身体は振り回されて、足を挙げようにも土台が作れなくなってしまいます。

 その反動を消すのが、体内の軸です。

 これがポール・ウェイド氏の言う「チェーン」であり、この場合は主にはフロント・チェーンが使われてそのために鍛えられることになります。

 私の場合で言うと、ぶら下がっている指から、腕こと前足を経由して肩甲骨の下まで、強い力のラインがまずは作られます。

 これがこの場合の定力の基礎です。

 普通武術で言うと定力というのは足の裏から上に昇る物なのですが、足裏が浮いていて手だけが他の物質に接触している状態なので前足が定力を持ちます。

 つまり、ぶら下がっている鉄棒の強さを体内に通している訳です。

 それをそのまま体前面の二つの軸と、左右の軸を通して腰の部分までつなげると、身体が鉄棒から二つの鉄心を通されているような感じになります。

 文字通り、私たちの武術の基本の勁力である鉄線です。

 鉄線と言っても針金のことではなくて、鉄パイプなどの鉄骨です。

 そのしっかりした安定を基に、足をググググッ、と持ち上げて頭の高さにまで運びます。

 この、力の曲がる部分が明確にあるために鉄線の部分は湾曲しません。まっすぐなままです。

 そこからまた、ゆっくり目に足を下ろしてくるのですが、この時も反動は鉄線で受け止めて殺しているので身体は揺れません。

 下げきったらおもむろにまた上げ始めます。その繰り返しです。

 目標まで何度も上げ下げしても、体内の線は曲がりませんし、振り回されることもありません。

 すべて受け止めて勢いを殺します。

 この、受け止めて揺らがない力こそが暗い勁の正体です。

 動作そのもので打つような明勁ではない。動かないことで威力が出るという勁の活用となります。

 作用ではなく、反作用が主体となる。

 指だけでぶら下がって全身を反動を殺しつ強い力で動かすというのは、逆に言うと全身の重い負荷を指先だけに伝えているということになります。

 このラインをこうして作り、強化すれば、はい、地に足をつけて同じラインで力を手から伝えれば打てます。

 これは懸垂ではないので、鍛えられるのは手ではありません。

 胴体の内側です。

 その力で手から打つことが出来る。

 もちろん、やり方の正しい指導と、体内のつなぎ方の知識がないと出来ません。

 でも、理屈としては明確な訳です。

 生理的な弱点を突くというようなことではなくて、自分の身体の正しい使い方で物理的に強い力を発生させている、ということです。

 手品や技ではなくて、自分を強い生き物に作り変えるという、中国武術の本道がここにあります。


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