我々は俗に南派拳法と呼ばれるものをやっていますが、実際には南派と言ってもいくつかタイプがあります。
福建の短勁を中心にした鶴拳類と、私たちの広東南拳系は明らかに違います。
北派と比べると震脚などはしないのでそこは共通しているのですが、福建系は浮沈(プーチン)と言って体幹での沈身動作があります。
我々は基本それも使いません。
なので私はどうも浮沈を伴う短勁が理解できていません。
広東系で行う長勁は、またの名を暗勁とも呼ばれていて、外形には発勁動作がありません。
なので南派は発勁がなくただ殴ってるなどと言う誤解を招いたのでしょう。
日本では南派と言えば短勁か殴るかという誤解がどうもやたらに広がっています。
しかし、比較的メジャーな我々のタイプ、うまく表す言葉が見つかりません。
上に書いたように広東南拳と書いたり、平馬南拳と書いたりしますが、これもわかりにくいような。
広東以外にも広まっているし、平馬以外も使うし。
平たく言うなら洪拳系……。
我々の蔡李佛もルーツの一つは洪拳ですから、これは間違いではない。
潭家三展拳や周家拳など、このタイプは広く普及しています。
このあいだ、たまたまYOUTUBEで台湾の大学で行われている南派武術の動画を目にしました。こちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=bsn2QxdMkPc
これ、まったくうちの系統です。上に書いてきた系統の典型です。
私たちもいつもこういう練習をしています。
震脚しなくても浮沈しなくてもきれいに飛んできます。
この系統を、ここでは南派五禽と呼んでいるようですね。
なるほど。確かにこの系統には五種類の獣の要素があります。
うちではそれを五獣と呼んでいましたが、確かに五禽と呼んでも同じことでしょう。
いつも書いている、気功によって人間の中の動物の時代の力を引き出して活用するというコンセプトからも、この考え方に着目した呼称はわかりやすいものかもしれません。