うちの練習を見ていたよその拳士が「八卦掌に似ている」といったことがありました。
また、この間私は肘打を遣っているのを見て「八極拳みたいだ」と言われました。
うちはいろいろな拳法に似ているようです。
その理由はおそらく、五つの少林拳をルーツに持っているためでしょう。
洪拳をはじめとして、白鶴拳に、蔡家拳、李家拳、佛門掌。さらにいうなら、そのどれもが北派少林拳とつながりがあるといわれているため、総合少林拳的な色合いのあるうちはどれにも似たところがあるのだと思います。
特に、肘打に関しては少林三十六肘という物があったといわれる通り、肘打ちにはそれを得意とする門と似たところが出るものだと思われます。
また南派拳法の中ではうちは高い蹴りや飛び蹴りが多くて珍しいとも言われますが、それもまさに少林の長拳類の流れをそのまま組んでいるのでしょう。
もともと、少林は武術の研究施設として、一帯の武術家を招いては技術を研鑽していたと言います。
太極拳、形意拳と言った少林のカウンター的門派と言えども、スタートは少林拳だったと言う話もあります。
うちの開祖、陳享師はおそらく、焼き討ちにあった少林寺から落ち延びた各派の明師たちから拳を学んだあと、それらを後代に残そうとエッセンスを凝縮して蔡李佛を作ったのではないかと思うところがあります。
その中心となっているのが、鉄線の勁であったと思っています。
外国だと中国武術の奥義と言えば、点穴や断脈と言った相手の経絡を攻める物がよく口に上るのですが、私たちはそれらを聞いたことがありません。
また、鉄頭功や童子功の類もです。
おそらく、生まれながらの武術家のみならず、一般への普及を試みたときにそれらは省いたのではないでしょうか。
それらの物は体ができる前から日常的に練功していないと大成しなそうなので、大人になってから中国武術を始める人間には体得が難しい部分があると思われます。
そのため、後からでも体得できる主要兵器として発勁を中核にすえたのではないでしょうか。
これは、発勁好きな日本人にはちょうど向いているところであるという気がします。