今現在のことを、書こうか書くまいか、書いたとしてそれを公表しようか否か、今朝から悩んでいました。
その中で、小池百合子都知事から発表があり、私の予測していた見立てがおよそ間違っていないかも知れないと思ったので、まずは書き始めることにしました。
今回の知事の緊急会見は、週末の外出自粛要請ということでした。
知事からはこのままだとロックダウンが起きうることもあるので、ぜひ各自自重して欲しいとの発言があったばかりなので、このような流れになることは充分に皆さんの想定内であったかと思われます。
ちょうどこの時間、私が何をしていたかというと、こちらの動画を見ておりました。
https://www.youtube.com/watch?v=Ab6R1_rTUTE
マニラがロックアウトされてからずっと、私はツイッター上で現地の様子を伝えてくれる動画をリンクしています。
ついこの間まで自分が歩いていた街が、今月半ばより閉鎖されて外出禁止令も出されています。
上記の動画は、現地に居る日本人ユーチューバーの方々が手を組んで対談しているものなのですが、その中の一名が「ただテレビを見てるだけの日本人は世界の現実が分かっていないのではないか。いまは自分でニュースを選んで獲得できるのだから、それをして自分の頭で考えるべき」と言った大意のことを、とても言葉を選んでおっしゃってました。
私は普段ほとんどテレビを見ないので知らないのですが、日本のテレビでは世界の状況はほとんど扱っていないということが言われていました。
ロックダウンは、非常に苦しい状態です。
すぐ近くのマニラでこれが行われていますし、ヨーロッパ、アメリカでも大規模に行われています。
小池知事の会見でも触れられていましたが、各種興行関係に対する危機意識が挙げられています。
興行関係は筆頭ですが、それ以外の多くの業界でも経済危機が迫っています。
現在コロナウィルスによる世界的危機は、これまで人類が経験したことがなく、誰も見通しを立てることが出来ないものとなっています。
20世紀は戦争の世紀だと言われ、世界的危機が繰り返されてきましたが、いまは人類以外の物が肉薄する危機となっています。
人類史上としても、大変に珍しい状態です。
新型コロナウィルスはとても危険な存在ですが、これで人類が全滅するということはまずありません。
たくさんの命が失われますが、比率としては少ない物です。
生き延びた多くの人に襲ってくるのは、経済的な危機です。
生活苦です。
これが非常に苦しい物で、誰もがこれに圧迫されたくない。
しかし、ロックダウンが起きている地域の多くではすでにこれが始まっています。
ライヴハウス関係者などが、このままだと商売が出来なくなって暮らしていけないと言っているのを何度も聴いてきましたが、それは必ず、ほとんどの人々に訪れる問題です。
ロックダウンが起きると、すべての人の生活がそちらに傾きます。
いまの日本は、世界的に観ると例外的にまだ社会が持ちこたえていると、今朝本田圭佑選手が言っていました。
本当にその通りです。
テレビでは報道されないかもしれませんが、それがいまのこの地球の現実です。
いままでと同じ生活を手放したくないと誰もが思うことでしょう。
地球上全員そうだと思います。
しかしもう、すでに多くの地域でそれは失われて行っています。
このあいだ、日本の離島で漁師をなさっているミャンマー人の方の番組を観ました。
番組その方は若い時分に仕事を求めて日本に来たところ、そこで結婚をなさってお子さんが五人もできた。
それでは暮らしが大変だと言うので道を探していたところ、島に移住して漁をすると生活に扶助があるという求人を見つけて応募したそうです。
いまは漁長として信頼されて運営をし、後進の育成をされていました。
元々ね、人が生きるというのはそういうことだったのではないでしょうか。
まず生きるがある。
出会ったらまぐわう。
そして子供が生まれる。
その流れの中で、暮らしてゆく方法を見つけて自分の方が合わせてゆく。
命の自然な流れに自己が合わせてゆく物ではないでしょうか。
先に自分の型のような物を作って、それにしがみついて命が危険に脅かされようとも世界が終ろうとも決して離さないというのは、もしかしたら何か間違ってるかもしれません。
もちろん、自分だけは最後の最後までこれまで通りに暮らしていたいと思うのは当然です。
でも、もうそれが出来ないことが目の前に見えて分かっていて、しがみつけばつくほど流れる血が多くなるというのならば、早めに切り替えたほうが自分のためになるのではないかという気がします。
オリンピックの基準で言うなら、一年後、ワクチンを作っている人の見立てで言うなら一年半までかかるかもしれないということですが、いつかはまず収束する事態であると言う見解は世界的に持たれています。
これまでの日常はすでに終わっていますが、この先永遠に続くということではないと誰もが言っています。
生き残ればですが。
いまはまず一旦切り替えて耐える姿勢に入り、次にまた戻ってきたときに備えたほうが良いかもしれないと個人的には思っています。
私自身、これまでも何度も生活苦の危機があり、そのたびに辞めた仕事に戻ったり土方をしたりして生き延びてきました。
その中で中心を持ち、それを前に進め続けてきた結果のいまがあります。
本物の中国伝統武術の師父となり、フィリピン武術のグランド・マスターになりました。
とはいえこれは、日本社会が窮地であっても世界的にはそうでない場所もあるから、苦難をしのぎながらそのラグを活用すればなんとかなる、という目算の結果でもあります。
いまはもう、それも通じない。
むしろ、世界の多くの場所より日本のほうが希望があると言う状態です。
いまなら選択肢を持つことが出来ます。
ロックアウトされればそれも激減します。
いま経済状態が苦しくて回復の見通しが立たないという業種の皆さんにおいても、ロックアウトが起きればもっと悪くなります。
完全にアウトです。
私もそうです。
せっかく師父として認められ、グランド・マスターとして独立して流派の運営が出来る身になっても、まったく活動が出来ません。
そこまでの十年以上にわたる先行投資額なんて、いつどうやって回収できるかの見込みがまったく立ちません。
だから他人事として言っているわけではないのです。
その状態、苦しい状態、不安を招く状態でも、なお、いまのこの国は世界的に恵まれた状態なんです。
それを、わざわざ悪化させてより悪くさせる必要はない。
すでに私は、とにかくここを耐えてしのぐモードに切り替えています。
終わりは必ず訪れる危機です。
食品の配達や、日用品の物流など、いまの世の中に必要な仕事はまだあります。
一度落ち着いて流れを読み、それに乗ると言うことが良いのではないでしょうか。
タオに生きる人間として、少なくともそのように思っています。
いまならまだ選べます。
出来ることがあります。
来るべき時に巻き返すための支度が出来るはずです。
追伸
ただなんならね、このまま生涯、誰にも自分が手渡された武術を人に譲渡せなくても良いのではないかという気もしてきています。
それでも私は生きてきましたし、これからも生きてゆくのでしょう。
その一貫した道のりの中で、受け継いで学んできたことは必ず生の中核として私を支え続けて、人々や世の中に何がしか良くあろうとさせ続けてくれるはずです。
だとしたら、引き継いだものが途切れることになったとしても、それはそれで構わないのではないでしょうか。
それよりももっと大切なことのために私は生きることができるはずです。
本当に、極々個人的なことを言うなら、私は間に合ったと思っています。
これまでの人生を耐え忍んで、自分がたどり着きたいと思うところまではこれた。
ほかの物は何も持てなかったけれど、自分の命が一つだけ望んだものにまではなれました。
あとはもう、おまけの人生です。
生きるだけ生きたら死にたもうなりの心で、世界の大きな流れとともにあり、出来る限りの善意をもって世に接してゆければそれで充分。
いまはみんな苦しい時ですが、どうかお互いに力を貸しあえますように。
上に張ったリンクでも、この状況下で誰かを悪者にしようとしている人たちの話が出てきました。
もし世界が元のように戻ったとき、彼らはまた親しげに微笑みかけてくるでしょうが、自分は同じように見れるかは分からないと彼は言っていました。
いまこそ個々人の生き方の強さが問われているのではないでしょうか。
苦しい時です。
でも必ず終わる時期です。
苦しい物を弱さからわざわざより苦しくさせる必要はありません。
どうか皆さん、自分の中の弱さではなく、強さと手を取り合ってくださいますよう。