以前にね、百獣の王と名乗る芸人さんのことを何度か書きました。
初めに書いたのは彼が少林寺に修行に行ったという番組を見た時です。
二度目は、彼がその時のことを自分のラジオ番組で話していた時のことを書きました。
私は彼のラジオ番組を聴いているのです。そうしてどういう人なのか知ってみると、非常に興味深い人物だと思うようになりました。
ラジオ番組でユーチューブチャンネルの告知が再三されていたので、そちらも見るようにしてみたのですが、そっちはより濃厚な物となっていました。
彼の生い立ちについては電波上で何度か聞いていたのですが、かなり壮絶で苦労の多い物です。
そのために与えられた環境で知恵と力を使って自分の定めた目標に向かって生きる、という姿勢が確立されているところが、彼のコンテンツの中核であると見取ることが可能です。
配信視聴者からの相談や質問に答えることが多いのですが、その受け答えの中で「俺のアドバイスが響かなかったら、ひろゆきかDAIGOに聴けばいいんじゃないかな」と言っている場面があったので、彼自身そのようなジャンルのパーソナリティだと自認していることが確認できます。
つまりは、ビジネスとサクセスと言う成功哲学界隈、自己啓発業界のタレントだと位置させているようなのですね。
だから、私とは全然違う。
違うのですけれど、生い立ちや思考にはとても共通するところを感じて、違うがゆえに大変興味深く感じています。
以前、彼に、心臓疾患が見つかってこれ以上の記録が無理だと診断された水泳選手からの相談が彼にあったのですが、その時の答えは「水泳に変わって成功できる物を見つけるか、いまより強度を落として水泳を楽しみながら、自分が成功できる物を見つけてください。いまのまま、水泳に全力を出して出来るところまで追求するということは絶対にしないでください」という答えを返していました。
面白いでしょう?
彼の基本姿勢として、人生は成功をするべきだ、という物があるのです。
というのは、彼がずっと住まっているスポーツの世界では、沢山の選手が自分の好きなスポーツをして、安い収入でもありがたがってくらしていますが、せいぜいスポーツ選手の寿命なんて30代までで、その後は何の経験もスキルもないまま世間にほおり出されて残りの60年くらい辛い人生しかないから、必ず心が折れる、というのです。
そうやって自分の人生を後悔ばかりして生きるのは良くないから、ちゃんと社会で幸せに生きる方法を見つけた方がいいよ、と言っているようなのですね。
彼は生活苦の少年時代から、自覚的に努力をしてそれが生活手段になるように、という目的で野球をやめて陸上で成功した人らしいのですね。
この記録が現在の彼の土台となっています。
いまでも彼は、十種競技のチャンピオン、という肩書がすべての根拠としてあるところに立脚しています。
この時、彼の年収は800万くらいだったそうなんですね。
でも、同じアスリートの野球選手たちは、数千万とか億の年収を上げている。
なので、ビジネスの土台になる記録を作るまでやったらすっぱり陸上を辞めてゴルファーへの道を歩み始めたそうなんですね。
好きな陸上で年収八百万ならいいじゃないか、と思ってしまいそうですが、それではダメだ、という考え方の人なんです。
30代までだと見なしているアスリートの寿命を考えると、確かに二十歳くらいから数年、×八百万稼いだだけでは人生百年時代には費用対効果が良いとは言えないかもしれません。
その時の経験や資本を活かしてコーチになるとか、飲食業に出るとかいうことも良しとしていないようなんですね。
それだと、それだけの収入にしかならない。
コーチなら時給幾らで一人みてその分の収入にしかならない。
飲食でも、お客さん一人当たり幾らで一日開店させて数万みたいな収入にしかならない。
それではダメだと言うのですね。
あくまでお金とビジネスの成功哲学というのを物差しとして持っている世界の人なのです。
その上で彼は、「そういうのは人生の幸福とかそういうのとは違うけれども」ということを言っているのですね。
そういう物ではないけれど、物質は大事だ、というスタンスを明確にしているのです。
だから、少林僧に「そんな人生でいいの?」と質問して、それに対する答えに感銘を受ける、という感性と人間性を持っている人なんですね。
これはね、他の同業の人からは感じにくい部分かもしれません。
あくまで、自分の肉体の能力と言う物を最大の資産として生きてきた人間だから出てくる物なのかもしれないと思って、とても興味深く観続けています。