最近、身体の造形として少しだけルッキズム方向も意識し始めた、ということを書いてきました。
ただ、私が平素から行っている中国武術や気功などのアジア式の身体の作り方は、現代西洋式のモデルさんのような細マッチョを目指す物とは主旨が違います。
カットが入った格好の良いラインではなく、全体にずんぐりむっくりした丸みのある体になります。
これを、キャリステニクスのコーチであるポール・ウェイド先生は、ギリシャ彫刻のような実際に強い肉体とよく表現しています。
確かに、ギリシャ彫刻の肉体をみれば、わき腹には肉が付き、太腿もとても太い。
これらはモデルさんからしたらラインが見えづらくなる余計な肉だということになるでしょう。
ひところ、エステの大手企業がスポンサーになって格闘技の興行が行われていました。
その関連で磨き上げた肉体をしていたキックボクサーたちがアパレルのモデルを務めるというムーヴメントがありました。
しかし、リングの上ではまばゆく輝くような彼等選手の肉体は、洋服を着るとずんぐりむっくりとして、言っては悪いですがただの四角いチビに見えてしまっていました。
これは骨格や前身のラインに関わる物のようで、ある女優さんは「天使すぎる」などと言われるくらいの美貌で知られているのですが、同時に「ちんちくりん」「体形がなんか面白い」と、洋服を着ると何かいま一つフィットしないということでも知られています。
やっぱり、洋服をうまく着こなす肉体というのは、一つの特化した機能であって、他の用途を趣旨とした体とはまた別の物であるようなのです。
実際、多くのアスリートが市販の服を着ると「ただのデブに見える」という悩みを口にします。
そのために、スポーツマンフィットなどと言われるアスリート向けのラインのサイズもあるにはあるのですが、いまひとつメジャーでは無いですし、用途に合わせて鍛えたアスリートの肉体は個々人で特化する機能が違うために共通のシルエットをしておらず、汎用的な造形を求めるのが難しいのでしょう。
次回は、モデル的細マッチョとアスリートの肉体の違いをお話してゆきましょう。
つづく