先日の同好会活動では、蔡李佛の母拳である八卦拳をやりました。
八卦拳は縦横斜めの三種類あるのですが、二種類目まで進んでみました。
それから五輪馬。
これは馬形(北派武術で言う歩形)の基本である五つの練習です。こちらを二つ目まで。
もうね、これらの八つが出来れば基本は蔡李佛は出来ます。
あと発勁の練功法があれば一生一人で向上できます。
五輪馬はなんなら三つくらいにも集約できますし、八卦拳は二つでもいいくらいです。
あるいは、一つでもよいくらい。
その一つには「横」が良いでしょう。
なぜならそこには鞭槌が入っているからです。
入門編では蔡李佛はぶんぶん振り回してぶん殴る拳法です。
実用では刀や棍を振り回すので、その土台として素手でその練習をするのは中国武術の常識的な構造から考えると至極当然です。
しかし、鞭槌にはその基本よりもう一つ上の要素が含まれています。
これは直接相手をひっぱたくというレベルの戦闘の、もう一つ上の次元に行く戦法の用法です。
物越しに発勁をするという物で、片手で相手の突進を牽制したりコントロールしているときに、その上からそのまま打ち込んでしまう。
これは心意拳の中で多用されている物で、少林寺で言うなら心意把の段階の物であろうと思っています。
これがあるから、上に書いた馬法で遠間から一気に間合いを詰めて行けます。
相手が引いたり躱したりしたら、そこから遠間の攻撃を打ち込めば確実に的を捉えられます。
避けられなかった場合はそのまま頭打や肩打といった靠打の類を加えます。
蔡李佛と言えば遠間で殴るようなイメージを持たれがちですが、何しろ高級套路の中には連環靠打拳という物があるくらいですから、こういう戦い方が初めから想定されています。
そして、中途半端な距離になってしまった場合には、もみ合いからの掴んで殴るという戦い方となります。
こういう相手を掴んで殴る攻撃を扣打と言います。
この時に鞭槌は役立ちます。
総合格闘技が普及した現在では皆さんご存じでしょうが、組討ちでもみ合いになった時には本当に効く拳打は打ちがたい物です。
重心のコントロールの奪い合いになるので、相手に掴まれて力を掛けられたまま打というしても力が乗らないのです。
がっぷり四つに組んでいるときに、殴りつけようと手を離そうものならそのバランスの崩れに付け込まれてイニシアチブを取られてしまいます。
鞭槌はその状態からそのまま打てます。
よく発勁だなどと言って、体重をかけたり単に関節の瞬発をしているだけの創作武術や偽物の人達がいますが、発勁はどちらも行いません。
だから組討ち状態で重心を変えないまま打てるのです。
ですのでこれがあるとないでは戦い方の次元が変わります。