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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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スタッパーズ

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 先日の練習会では、珍しくみんなでキャリステニクスをしました。

 いわゆる合トレ状態です。

 本来、伝統武術の練習会では各人それぞれがやっていることも段階も違うので、こと身体づくりの面で同じことをすることは意味がないのですが、この時はあるメニューを伝えたくて特別に行ったのです。

 そのメニューとは、元海兵隊のマーク・ローレン教官が言うところの、スタッパーズという物です。

 これを総合メニューで行いました。

 脚とか腕とかのパーツトレーニングではなくて、比較的負荷の軽いキャリステニクスを、プッシュ、プル、脚の三つのパートに分けて、インターバル無しで行います。

 よく、運動は20分を過ぎた辺りから脂肪を燃焼させ始めるなんていうことを有酸素運動でいいますが、それを筋トレでやっているような物です。かなり頭がおかしい。

 このクレージーな組み立てにどんな効果があるのかというと、例の生化学的なものとなります。

 こうして運動をし続けると、成長ホルモンの分泌が始まるのですね。

 それによって体の恒常性(ホメオスタシス)のレベルが上がり、それまでより高い状態の生命活動モードに入ります。

 結果、新陳代謝が高まり、筋肉もついてゆく、というのがこの生化学的トレーニングの機序となります。

 筋細胞を破壊して新陳代謝をさせるのではないので、キャリステニクスのメニュー自体は負荷が軽くてもOKということです。

 というか、強度の高い種目を20分も休み無しで続けることはほぼ不可能でしょう。

 そういう意味で、20分という時間と苦痛は支払いに差し出す必要がありますが、肉体的ダメージは比較的少なくて済みますので、健康な肉体作りの一つの方法として生徒さんに今回だけ体験してもらったのですね。

 して、この日のメニューのは、まず脚の部のバック・ランジを10回。

 これは昨今、お腹を凹ませたい人のためのエクササイズとして話題になっている物ですね。

 ただ、私に言わせればこの動作は、格闘技時代の訓練で馴染んだものでして、両腕をしっかり上げて頭をガードし、片足づつ脚を下げて体を沈めてまた起き上がることで、離れ際やダウンを取られたときにもちゃんと立ち上がるための練習になるというものでした。

 当然、クラウチング/スタイルでの構えを強固に支える下半身作りにもなります。

 これをやった後はレット・イン・ミーというローレン教官お気に入りのプル系の種目を8回です。

 これは、ポールなどの掴まれる物に両手をかけて、綱引きをするように後ろに体を倒して、そこから腕の力で重心を引っ張り上げるという物です。

 鉄棒で言う、ホリゾンタル・プルに近いものですが、負荷はグッと少ない物になります。

 それからプッシュ系ではテーブル・プッシュアップを6回。

 これらを休みなく一回りしても、ほとんどの人は大した疲労は感じないでしょう。

 まぁ、平素脚を使ってない人は最初のバック・ランジがちょっとつらいかな。まぁそれくらい。

 しかし、20分間休み無しで延々続けるとなるとまた別のお話となってきます。

 3セット目くらいで息が切れるし脚が辛いし、下手すれば脇腹が痛くなってきて、もう疲れてきちゃったな、と感じるのですが、このくらいのときに時計を観ると、だいたい2分45秒くらいとなっています。

 まだまだ15%くらいしか経っていない……。

 絶望の中で、ひたすらに心を静かにさせながら淡々とこなしてゆくことになります。

 私はもう、右の脇腹が痛くて痛くて仕方ないのですが、いつまでやっても5分も経ちません。

 大体、1セットやるのに1分かからない程度のため、これを20セット前後やったときに終了となります。

 そうなると、おおよそバック・ランジは累計200回くらい。レット・イン・ミー160回。テーブル・プッシュは120回前後となります。

 軽い種目でやってゆくというのはこういうことなのですね。

 強度の高い種目では、インターバルなしでこの回数はこなせない。

 レット・イン・ミーなんて正直、なんの効果も感じないくらいのゲキチョロメニューなんですけれども、翌朝目を覚ませばきちんと二頭筋がパンプしています。

 これが、筋細胞を殺しての超回復ではなくて、弱い刺激を継続的に与えることでのホルモン分泌の効果なのですね。

 負荷の強いバック・ランジでは筋肉痛の起きるレベルにもなるのですが、私はこれは内転筋とハムストリングス、それからお尻にしかダメージは感じませんでした(ランジはお尻に効くので知られた種目です)。

 しっかり体重を乗せて、静かに上下をさせて利かせたのですが、傷めどころの膝にはほぼ負担がありません。

 これは私のような膝を壊した人間にはとてもありがたいことです。

 なにせ、膝を悪化させないようにしつつ、脚の筋肉を強めて日常的な負荷を下げなければいけないという矛盾したような対応が求められますので。

 私のもっともパンプしやすい大胸筋に関しては、1セット6回のテーブル・プッシュではほとんどパンプは起きませんでした。

 しかし、これは逆に言うならすごいことです。なにしろ私はすぐに胸を使ってしまいますので。

 いかに強度そのものが強くないかをよく顕しているようです。

 さて、このメニューですが、なんと参加者全員が見事に無事こなしました。

 これを覚えて、週に一度くらい行えば、生命レベルの向上が日々行えることになります。

 後はやりたければ、腕や脚の日も作って、強度の高い種目を行えばよいでしょう。

 そうすれば、それらの負荷の効いているところに成長ホルモンを更に送り込んで筋肉の成長をより促進することも可能でしょう。 

  肩や膝に負担をかけずに強化ができるというのは、私の理想からするととても重要な部分になります。


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