先日の茅ヶ崎レッスンは要望あって、午後にも続けて二回戦目を行いました。
スタジオは午前しか借りていなかったので、気持ちの良く晴れたビーチで行います。
しかし、気持ちがいいからと言って油断してはいけません。
中国武術はそもそも外で行う物で、その根本である気功も同様なのですが、しかし、外で気功を行うには少し注意がいります。
その日も、その部分を、筆頭の学生さんに確認してもらいました。
すると「今日は日差しが強すぎるので辞めておきましょう」との答えが返ってきたのでそうしました。
気功には、外の物を内に取り入れ、内の物を外に出すという基本があります。これを換気と言います。窓を開けて空気の入れ替えをするあれのことです。
外の物、つまり外の気、外気を取り入れるとは、単純に呼吸のことではありません。
感じられる物を感じ入れるということです。
例えば景色。気持ちのよいビーチの景色を取り入れれば、浮かれたよい気分になります。
これは心の気、喜びの感情の増加です。
この場合の景色という気は、食べ物を摂るように、物質を体内に取り込んでいる訳ではありません。眼球に映った物が脳内に反射しているのです。これも外気の取り入れです。
また、波の音は母体の時の音と波長が似ており、人を落ち着かせると言います。
音というのは、振動です。これも、物理的に何かを入れるのではなくて、元からある空気が震えている、その震えを体内に取り入れています。
また、海の周りの湿度も外気です。空気中の水分は人をリラックスさせるという説もあります。
このように、五感と六感で感じられる物はすべて気です。気のせい、という言葉もあるくらいです。
つまり、環境が自分に及ぼす影響を自覚的に判断する、というのが私が筆頭さんに頼んだことです。
瞑想、禅は気功の行において欠かすことができませんが、やるべき場所を選ぶというのも大切なことなのです。
よく、芸術の評論などで耳のごちそう、目の保養と言ったような言葉がありますが、まさにそれも気功的な思想です。
仏教は、美という物を大切にしてきた思想です。美とは調和の中にあり、そのために芸術をはぐくんできた文化です。
この過酷な世の中を生きる上で、心がすさんでしまっては問題があります。美しい外気を取り入れる必要があります。
人間は取り入れた物で出来ています。
美しいもので心の美しい部分を養いましょう。
気功の三原則は、調息、調身、調心です。心を健やかにすることは、健康に直結しています。
そして、それは美によって行われます。