さて、前回は世界とのやり取りの計算について書きましたが、それをするにあたってとても大切なことを書きます。
それは、心の中に公正な視点を持つということです。
もちろん、必ずしもその通りに行動する必要はありません。
しかし、まずはそれをきちんと見極めることのできる視力と判断力が必要になります。
そうして分析したうえで、私的な結論は出せばよい。
外部の情報をキャッチする段階で見る目が曇っていては、判断を見誤ります。
これは、より具体的に言うと「嘘をつくな」ということです。
実際には、口から嘘をつくのは構いません。
そうではなく「自分は嘘をついていない」というような嘘をついてはいけないということです。
「自分は嘘をついている」という自覚のある嘘なら問題ありません。
人をだますのは手段としてありえますが、自分を騙すのは危険なことです。
自分を安心させるためにそんなことを繰り返してゆくうちに、何が本当で何が嘘かがわからなくなってしまい、どう手だてをすればいいのかがまったく見えなくなってしまうことがあるのが恐ろしいことです。
そのために、まず誰にも知られなくていいので、心の中に可能な限り公正に事実を見ることを心掛けると、これは非常に自分の幸せに通じるものになります。
「現実」をきちんと見ることが「真実」を見ることへの第一歩になります。
真実によって傷つくことはあるでしょうが、真実ならば対策ができます。
しかし、自分を安心させるために作り出した幻に浸っていては、事実に対してあまりに無抵抗です。
お釈迦様は、人間を苦しめるものは外部からくるものと内側からくるものの二つだと分けられたそうです。
仕事での不満や生活上の不足などは外からくるものです。
しかし、家族への不満や恋人への不信などは、自分の内側からくるものです。
もし現実をきちんと見据えることができていなければ、外からの苦しみに対処はできないでしょう。
また、もし現実を見ていなければ、内側からの苦しみは次々とわいてくることになるでしょう。