週末の練習で名古屋の学生さんとまた色々話しました。
整体の先生をやってらっしゃっていて、様々なセミナーでの勉強を欠かさずに見分を広げてられて、同じく熱心な同業者の方々とのお付き合いの広い方です。
そのお付き合いの中に、ある有名なロシア武術の先生がいらっしゃるそうで。
その流派は私も以前から面白いなと思っていた物で、どうも地理的に中国武術との近似性も近いとの話を聞いていました。
学生さんが言うには、その流派では腕立て伏せや腹筋などの基礎トレーニングにも独特のやり方があるそうです。
これは信用できる話です。
というのも、中国武術と言えばジャッキー映画などで面白い基礎練習をしているのをご覧になった皆さんも多いと思います。
実は技よりもそういった練功法のほうが極意だったりする部分があります。
どのようにして身体を作るのか、というのはいかにしてその身体を遣うのか、ということと限りなく近いことです。
そこにこそ、東洋医学や伝統思想に基づいた中国武術という物の真価があります。
逆に言うと、一般的なジョギングや腕立て伏せで作った身体で格技をやっていると、絶対に技の世界を出ないのです。
どうしても日本人はコツとかトンチのようなインスタントな物か終着点の見えない根性論かの二極に偏りがちだと思うのですが、そうではなくて理論的に一貫した物の考え方と、それに合致した土台の作り方という具体的なメソッドこそが本来の伝統武術というシステムそのものだと思うのです。
そして、そのようにして身体と手法が合致して初めて成立した物を術と呼びます。
そのために中国では、技は教えるが練功法は教えない、という先生が沢山いると聞きます。
実際、中国武術の世界と言うのはえてして上達するほど動きが見えなくなるので、その部分はどのようにやっているかだけでなく、どのような身体でやっているかというのが大切な部分もあるのです。
それを手ほどきされない限り、生涯師の技は再現できません。
上に挙げたロシアの武術では、基礎から独自の方法で作っていっているということなので、そのあたりが実に信頼できる流派だと言う感を深めました。