人種差別問題に対して反対を唱える公民権運動が盛んになり、とうとう一つ前には合衆国初の黒人大統領が生まれました。オバマさんですね。
これで、アメリカはようやく本当に人権が尊重された国になる。さぁ次は女性大統領だ、と多くの人が思いました。
おそらく、南部の人たちもそう思ったんですよ。
だから敵対候補が勝ちました。
ご存知トランプ大統領です。
彼が大統領になったから、いまのハリウッド映画は人種問題のことばっかりやってるんです。
子供が観られるヒーロー映画の「ブラック・パンサー」もそうですし、その続きでもある「アヴェンジャーズ」もそうです。
ちょっと話をそちらに寄り道しますとね、ブラック・パンサーってのはその名の通り黒人公民権運動の話からスタートするんですね。
キング牧師が暗殺されたことが物語のきっかけになってます。
そういうアメリカ先導の国際社会に対して範囲を翻して、アフリカの王様がヒーローパワーで世界情勢に干渉してゆく、というのが「ブラック・パンサー」です。
「これからは白人社会に遠慮しないでぐいぐい乗り出してくし、難民が居たらガンガン受け入れて世界を良くしてくぜ」って国際社会のリーダーシップに色気を出して終わるんですね。
マーヴェルの映画ではこういう単体のヒーローが集合してアヴェンジャーズ映画となる訳ですけれども、黒人種代表のブラック・パンサーがそうしている頃、白人種ヒーローは何をしていたかというと、難民化していました。
「マイティ・ソー」っていうヒーローが居まして、彼は北欧神話の世界に住んでる神様なんですね。
北欧神話ってのは要はアングロ・サクソンとイギリスの勢力の取り合いをしてた人たちです。ドイツなんかにいて、そっちから移民してきたんですね。
まぁイギリスでは負けちゃいました。
その後、アメリカに移住する時もアングロ・サクソンに出遅れて差別されてた、北部人で、ヤンキーって呼ばれてた人たちですね。
オランダ人じゃないんだけど、まぁオランダ人だかなんだかわからないパチモン白人だろう、みたいな感じでひとくくりにヤンキーと呼ばれてしまっていた。
南部のアングロ・サクソンの間ではオランダってのはそういう意味で慣用されます。オランダ、英語で言うとダッチっていいますけど、ダッチって言うと「まがい物」とかのニュアンスがあります。安物の、とかパチモンの、とか。割り勘のことは「ダッチ・カウント」と言うそうです。
でね、この非アングロ・サクソンの白人種ってのはこうして差別をされてる一方で、差別主義者でもあるんですよ。
代表的な物がドイツのナチスですね。
彼らはヨーロッパの白人種こそが優秀で有色人種が劣ってるんだ、ということを主張していた。
いまでもこういう考えの人たちは沢山います。
そういう人たちの精神的な信仰のルーツに居るのが「マイティ・ソー」たちケルトの神さまなんです。
で、そのソーの映画の中で、神様同士が身内でもめ事起こして国が崩壊しちゃうんですね。
それで勝った側のソーたち生き残った神様はホームレスになってさまよっちゃってる。
白人権力の衰退とブラック・パワーが延びてきてるっていう現状が映画に反映してるんですね。
それに危機を感じてる人たちがトランプさんに投票したんです。
つまり彼らは、旧時代の権力を維持したいっていう人たちなんですよ。
トランプさんの支持者は南部の人たちで、キリスト教原理主義者が多くて人種差別主義者で女性差別主義者で、って話ですけど、それはそういうことなんです。
衰退している古い権力を無くしたくないんですね。
つまり、公民権運動のカウンターなんです。
とうとう黒人が大統領になる時代がきちまった! このままだとヤバい! って言って慌てて古き良き差別主義世界の救世主を担いだってことですね。
現在、音楽のジャンルでもそれまではもっとも人気のあったロックを抜いて、ヒップホップが隆盛する現象が起きています。
それだけ、ブラック・パワーが強くなり、追い詰められた白人勢力も叩き潰そうと必死になっているせめぎあいの環境なのです。
それを象徴しているのがこちらの楽曲。
https://www.youtube.com/watch?v=VYOjWnS4cMY
チャイルディッシュ・ガンビーノというアーティストの作品です。
彼は今年公開の映画「スター・ウォーズ ハン・ソロ・ストーリー」で若き日のランド・カルリジアンの役をやっているのですが、作中での相棒は公民権運動を訴える女性解放運動家のドロイドという設定になっています。
つづく