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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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アメリカのいまについて 7・自由の国

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 差別主義者が古き良き入植時代の空気を求めてトランプ政権を作り出したということを書きました。

 これ、日本人としては疑問を持ちます。

 それ、全然自由じゃないんじゃない? どこが自由の国なの?

 とうとう話が佳境に入ってきました。

 それを書きたくてこのシリーズを書いてきたと言っても過言ではありません。

 アメリカでね、同性婚が認められることが増えてきましてね。

 そうすると、まぁ法手続きは取られる。

 あと、まぁレズビアンでもホモセクシュアルでも結婚式ってものを挙げるわけですよ。

 ある教会の司祭がそれを依頼されて断ったんですよ。

 すると当然、批判が出る。

 それに対して司祭はこういったんです。

「ここは自由の国だ。私には同性同士の結婚式を断る権利がある」

 これがアメリカの自由なんです。

 最初に書いたアメリカのロックン・ロール精神を思い出して下さい。

 それと、宗主国のイギリスに反対して武装する自由、すなわち国に対して武装蜂起する自由という物を。

 それがアメリカ人の言う「自由」なんです。

 だから、その直径である南部の人々は決して銃規制を受け入れない。

 彼等には武装する自由がある。

 ゲイを差別する自由がある。

 女性を差別する自由がある。

 黒人を差別する自由がある。

 もちろんヤンキーどもを差別する自由がある。

 それがアメリカの自由なんです。

 ここの現実を見た時に、私の中には日本社会というものがものすごく色濃く見えてきました。

 陰陽思想ですね。他者を理解することで自分の側が相対的に見えてくる。

 我々近代日本人は、自由っていうのを立派で倫理的で正しくてきれいな物だと思っていませんでしたか?

 自由の女神やホワイトハウスの象徴する自由をそう思いこんで、あるいは勝手に決めつけてはきませんでしたか?

 その決めつけが、人間を不自由に拘束する物の根本です。

 そしてそのように決めつける人間こそが、戦後日本が経済戦争における兵力として求めてきた、自分で物事を考えることが出来ない人間そのものではないでしょうか?

 先に書いてきたように、日本には差別を禁じる憲法が無いそうです。

 それは、日本の中に大きな意味での外国人というものの存在が目立ってこなかったからでしょう。

 アメリカで、トランプ政権がなりたつようにマイノリティが強くなってきた原因には、旧権力が追い詰められてきたからだというのがあります。

 トランプさんを支持する白人優位主義者の団体は、黒人種は生物学的に知能が低いから自分たちと同等に人権を与えるべきではないと堂々と言っています。

 その背景には、人口比率があります。

 開拓時には優位にあった白人種ですが、試算によるとあと数年で有色人種より少なくなるのだそうです。

 だから彼らは「このままだと白人は少数民族になる」とおびえているのです。

 彼らは自分たちより弱い人種を虐殺したり搾取したりしてやってきた人々です。

 なので今度は自分たちが虐殺されると思っている。

 プロテスタントの基本である、差別による階級設定と労働力の確保という考えがあるわけです。

 その観点から振り返ると、日本にはそういう民族的な比率というものが無かった。

 では、いったいどうやって国力を挙げるための労働力を確保してきたのでしょう?

 だから国政を運営する側としては、「女性は子供を産む機械」とか「同性愛者は生産性がない」という発言が出てくるのです。

 安室奈美恵が若くして結婚した時に、その影響で彼女のファンになっているような連中が真似して早婚になって子供を産むだろうから表象をしようなどと堂々と言い出すのです。

 つまり、皮膚や目の色でではなくて、頭が悪いかどうかで労働力としての資質を見ているのです。

 頭が悪い人間が比率として沢山いてくれた方が国としてはうまく立ちゆく、という思想です。

 高校野球を始めとした部活も合唱コンクールも遠足も林間学校も、みんなそのような類の人間による労働力の確保を目的として形成されているようにしか、私には思えません。

 フランス革命の後、フランスではキリスト教への強烈な弾圧がありました。

 新しいフランス社会は、そうやって信仰を拠り所にして物を考えない人々の生まれる土壌を叩き壊そうといていたのです。

 そしてそれまでは社会の中心にあったキリスト教の思想に代わって、「理性」を中心にしてゆこうという運動がありました。

 残念ながらその運動は革命後のジャコバン派の評判があまりに悪かったのですぐにすたれてしまったようなのですが、この思想は大変に先鋭的で正しいものであるように私には思えます。

 ただその理性による世界の運営に失敗したフランスが、ヴィシー政権での苦い経験を踏まえて東洋哲学に答えを求めたというところに重要な意味があるように私は思うのです。

 そして私が長々とこのシリーズを書いてきたのは、まさにそのことを心ある人々にいまのこの世界の先端の状態を顧みて欲しかったからです。

 アメリカがなぜ国際社会でのリーダーになれたのか。

 その力によってどれだけ世界に影響を与えて、我々日本も含めた多くの国をアメリカに都合のいい偽アメリカとしてきたかを良く意識してほしいのです。

 その上で、この日本社会を作っている最小単位である個人としての自分をもう一度よく見つめていただけたらと思います。

 個の自由をどれだけ追求できるか。そのために東洋哲学というのは発展してきました。

 皆さんが自由について考えるきっかけになれたら幸いです。

 ロックン・ロールで始まり、ヒップホップの台頭を経てきたこの企画、最後はユーロ・ビートで終わりにしたいと思います。

 

https://www.youtube.com/watch?v=sr--GVIoluU

 

 

 

 

 

 

 


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