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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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動きと中身と自由

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 最近ようやく、二期メンの練習生のみなさんに練習の成果が見えてきたのはいいのですが、まだそれぞれが足りない。

 えてして勁が出来てきた人は今度、動きが足りてない。

 前も書いたようにえてしてうちの人達はなぜか今一つ血の巡りがよろしくないので動きの制御が非常に苦手。

 ゆっくり動いてしっかり内側を遣えばいいのにと思うのだけど、あせってめちゃくちゃになったりびくびく痙攣しはじめたりしてしまう。なんなんだろう。

 そのためにアルニスの練習を通して動けるようにしたいのですけども、これが私が思っているよりずっと引っかかる。

 先日もちょっとサンプルを見せようと思ってある人の前に立って「なんでもいいからちょっと打ってきて」とお願いしたのですが、その瞬間前に居た人が「あっ、は、え」と喘ぎながらまたビクビクし始め出して、何がなんだかわからない。

 なんでもいいから打ってきてと言ってるのだからただぼーっと前に手を適当に出せばいいだけなのに。

 みんなエゴがうるさい。エゴがひっかかってあれしようこれはしないほうがとなった結果、何も出来なくなっている。

 アルニスは自転車や水泳の練習と同じだとよく言うのですが、つまり動き続けていて初めてアルニスなんですよね。

 いちいち足をついていては水泳にも自転車の運転にもならない。

 凝り固まりたいというエゴの執着から自ら離れて飛び込まないと。

 まぁ人間、どうしてもそういう迷いや畏れ、疑いや戸惑いがあるから、こうして動く練習をして動き続けている環境になれて行くべきなのでしょう。

 特に、言われたことはやれるけれども自由にというと出来ない人が非常に多い。心が凝り固まっている。

 その硬直が安定であり安心だと思いこまされてきてしまっている。

 そこから離れて自分を自分で立てないと、自由にはなれない。

 それを安心立命という。

 心を安らげ、命を立てる。

 カンフーで用いる力は動作から来ている物ではありません。

 内側の不随意な物を訓練で操作出来るようにして活用している物なので、外面的な骨格の運動とは関係がありません。

 その力が遣えてこそのカンフーです。

 動きや技でやっている間はなんでもない。

 対して、アルニスではその前の中身は何にもない動きだけをやります。

 威力は武器そのものに宿っているから考える必要が無い。

 とはいえこちらでも、動きは硬直した物ではなくて自由で無為に動けないといけない。

 なので、覚え事の形式や技をやっている訳ではない。

 そのようなマニュアルに固執していると何も出来なくなってしまう。

 大切なのは自由になることで、自由になれるために練習をしています。

 そのために有用なのが、周りに働いている力を感じる感性。

 これは心が静かで、周りの現実がすっと入ってくる状態でないと感じられません。

 だからこれらの練習では、心を静かにたもって寛いでいることが前提として必要です。

 その状態でなおかつ、自然に内側の力を活用できるようになりたい。

 立脚するべきはその地点であって、決して決まった技や動きではありません。

 その時その場に働いている力と、相手の力にうまく乗れば、別に足を引っ掛けたり腰に乗せたり持ち上げたりしなくても相手を転がすことも普通に出来ます。

 そういった部分をアルニスで養い、そして自分の内側の力を活用して相手を打つことが出来るようになれば、うちの武術としては正解です。

 そしてそれらを獲得してゆく過程を通して、心身を自由にする術を学ぶことこそが、本質としてもっとも大切なことです。

 だから技や形式を望んできても、何も得る物は無くなってしまう。

 時々自由練習で相手をしてやってしまったりしたときに「いまどうやったんですか?」と訊かれることがありますが、知らない。

 その時に働いていた力の方向をちょっと変えただけなので、技でもなんでもないし何をどうやったのかも別に固定化されたものとして決まってません。

 やられた方が「なにをされたのか分からなかった」と言ったりもしますが、こちらもそれは同じこと。

 ただ状況と調和してあるべくようにするだけなので。

 

 

 

 

 

 


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