この半月ばかり、右の足首に痛みを抱えています。
これは、我々の勁力の特徴であるひたすら静かな定力を強く求めた結果のもののようです。
練功によって足首の関節のつながりかたが強制されて、より強い状態に耐えうるように付け直されたようです。痛みは徐々に治まってきています。
これとまったく同じ現象が起きたケースが、還暦すぎの先生に起きたのを知っています。
このように練功で体が変形することを変態といいます。
昆虫などが蛹から孵ったり、おたまじゃくしがカエルになることなどをこう言います。
中国武術の練功とは技の練習ではなく、体そのものを作り変えることを目的にしています。それが六十を過ぎてもなお起きるというのはすごいことです。それまでの自分とは違う自分に、目に見えてさらに進化が続いているのです。
この変態はまじめに稽古をしていると定期的に訪れます。
そのたびに、以上に腕が重くなったり、やたらに疲労感に包まれたりと体質の変化が起きるのですが、それらは一定の工事期間のようなもので、終わると前より強い自分になっています。
私自身が体力的な問題を感じ始めたのは、24の時でした。
子供のころから格闘技や現代武道をしていたのですが、明らかに19、20の時とは体が違ってきてると感じました。
その後、27のころには腰や膝の故障がひどくなり、引退を決意しました。
中国武術に転向したのはそれが理由の一つです。
はじめは、ヘルニアなどを経験した腰の痛みが緩和されれば儲けものだなあくらいに思っていたのですが、それがまさか20代のころより生物として進化するとは思っていませんでした。
ちなみに、上述の還暦の先生をはじめ、私の先生やその師兄弟の皆さんが中国武術を始めたのは40からでした。そこから肉体が飛躍的に成長していったのです。
内功を積んでゆくと、男性は関節の角張りが消えてのっぺりしたフォルムになり、体の内に膜騰起という現象が起きて肉が暑くなってゆき、ロボコンのような体型になってゆきます。
女性は手足はほっそりとしてゆきながら、胸や腰は張ってゆくそうです。韓国の美意識で言うモムチャンのタイプですね。
おそらく、これらは神経の活性化やホルモンの働きのためだと思います。
東洋医学に基づいた美容と健身効果の研究のたまものですね。
気功には原始信仰の不老思想に影響が強いため、このような効果が高いのでしょうね。