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速さと早さと築基功

 練習ではとにかく、ゆっくりとしっかり動くようにと指導しています。

 中国武術では速く動いて練習することを快練、ゆっくり動いて練習することを慢練というのですが、この慢練こそが中国武術においてはとても大切なのです。

 門外のヒトからは太極拳だけがゆっくり動くと思われていることがあるそうですが、中国武術はほとんど慢練を行います。

 速く動いてごまかしてはダメ。出来る限りゆっくり動いてそのゆっくりの中に粗が無くなるように練習します。

 その部分まで行ってこそが功があると言えるという物でしょう。

 そのために口うるさくゆっくりゆっくりと言い続けているのですが、まぁみなさんすぐにバタバタと速く動いて雑なことをする。

 なんだってそう人の言葉を聞かないんだろうと思っていたのですが、もしかしたら私が速く動いているように見えているのかもしれない。

 というのも、対打をするときなども相手が何やら痙攣的に速く動いてしまっているので。

 私はゆっくり動いているというのに。

 そこで思い当たったのですが、おそらくは皆さん、速いと早いの区別がついて居なかったのではないか、と。

 ひたすら痙攣的に物理的速度を求めるのが速さ。

 私のは自分自身はゆっくりと滑らかに動いているのだけれども、使っている時間は極めて少ない。

 つまり、間合いとか動きの小ささで結果的に瞬間で相手に届いているだけで、無駄な距離を加速でごまかしてはないはず。

 それを可能にするのは、実は身体の造りなのではないかと思う処があります。まぁこれは、中国武術の答えとして極めて普遍的な物なのですが。

 おそらく、早く動けるというのは、身体が細分化されているかどうかに由来する部分があると思います。

 それをするために我々は平素、築基功で身体の内側を反動無くより細かい部分ごと区切って動けるように練習している訳です。

 これは早さに限らず大きな力を出すことにもつながります。

 身体の内側を細かく割って役割を分担させるからこそ、地面とのつながりを維持する部分、動くときの反動を消す部分、関節を動かすのに使う部分を割り振って同時進行で行える訳です。

 そうやっているわけなので、慣性力を使ったり重心を振り回したり、バウンドさせて起りを作ったりはしない。

 なので不必要な動作をどんどんカットして必要なことは重層的に同時進行で行えるので、早いという訳です。


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