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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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学びとデモと 1

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 一連の、世界の変化についての記事を書いたのが先週の日曜日です。

 それを投下している最中の6月4日木曜日現在、この記事を書いています。

 あれから世界はすごい速さで変化しています。

 アメリカでの暴動は拡大し、そしてさらに次の事態への変化を迎えていますが、日本における報道ではまだうまく事態が理解できていない人が多いのかもしれないという気がしています。

 というのも、ネットを見渡すと、アメリカ在住の人達は「まだ日本ではほとんどこの部分が報道されていない」という意見を目にしますし、実際に日本のテレビニュースに対する意見を目にしても、確かに理解が抜けているところがあるように思いました。

 そこで、私が知れたことをまずここでシェアしたいと思います。

 まず、とにかく最初に伝えないといけないと思うのは、日本ではアメリカでの暴動を、あれはANTIFAの仕業だ、ANTIFAというのはアメリカでテロ団体認定された過激派組織だ、という見方をしている人が多いので、それは違うよ、ということです。

 ここの記事をいつも読んでくれている方ならご存じでしょうが、アメリカ、フランスなど資本主義に初期から参加している民主主義国には、デモの習慣があります。

 これは、国の成立そのものが大きな支配体制への抵抗から成立したので、建国の精神として「反抗」が含まれているのです。

 フランスの場合は、フランス革命によって民主主義の先鞭をつけた国というのがありますし、アメリカはプロテスタントという旧来の神の支配からの独立ということが根本にあります。

 これは、テロリストによる敵対的抵抗とは全く違います。

 実際、以前にご紹介した動画をご覧いただいた方なら、そこでデモに参加している老人が「これは愛国心だ」と語っていたのをご覧になっていることでしょう。

 愛国心として政府に抵抗するという考えかたがあるのです。

 政府というのは人民の代表であり、任期が限定された暫定的な物です。

 政府もルールも変化するということが前提としてあり、そのバックにある国家への愛という物がより大きなものとして存在している訳です。

 ですので、政府に抵抗して抗議をしている人たちは、その大きな「アメリカという国とはどういう国であるべきか」という愛国心に基づいて行動しています。

 決してテロリストではありません。

 また、ANTIFAでもありません。

 彼らのことは、プロテスターと言います。

 文字通り、プロテスタントの国としてのアメリカの精神を受け継ぐ人々です。

 意味は「抗議をする人」。

 つまり「アメリカとしてそれは違うだろう」という抗議をしているのです。

 民主主義としてはこの意見の表明が大切であるからこそ、彼らの持つプラカードの中には「沈黙は死だ」というコピーが書かれているのを見ることができます。

 そう。

 以前のご紹介したリバタリアンのプラカードには「自由か、さもなくは0・2パーセントの死を」と書かれていましたね。

 彼らが語る「死」は自分たちを主体とした言葉です。

 決して日本のナンダッケ隊のように特定の個人を指して集団で「死ね」「殺す」とまくし立てて何かをした気になっているということではありません。

 そういうことはしてはいけないと昨今話題になっていますね。

 ナンダッケ隊だった人のうちに、いまになってそのような意見を二枚舌で語る恥知らずが居ないことを願います。

 プロテスターの人達が現れるのは、訴えるべき対象である政府機関の前です。

 彼らはプラカードを持っており、メッセージを伝えるだけで破壊活動はしません。

 略奪もしません。

 個人商店にプラカードを突き付けても意味がない。

 では、略奪をしている人たちは何なのかというと、あれは「ルーター」と呼ばれる人達で、プロテスターとは全く別の人達だとみなされているそうです。

 区別はすぐつくそうです。

 まず、プラカードを持っていない。

 訴えることが無いし持ち帰る物がある予定なのでそういう邪魔な物がない。

 ないので何も誰にもメッセージが存在していません。

 ただ自分が欲しい物をどさくさ紛れに奪うだけです。前の記事でもご紹介した通りで、結構な割合で白人種も多い。

 これはロックダウン(アメリカ風に言うとシャットダウン)によって生活が苦しい人たちが多いためだと言います。

 なので、黒人種の経営しているお店も関係なく奪われます。

 警官隊が、デモ隊の方に手を割いてしまっているために、治安に隙が出来ているという因果関係もあるのでしょう。

 この2つの派とは別の、完全な破壊者がアナーキストと呼ばれる人たちで、これがANTIFA関係の人達です。

 彼らが現れるのは、資本主義の出先である金融機関や庁舎の建物、そして、スターバックスなどのグローバナイゼーション企業の前です。 

 彼らは略奪はしません。ただ破壊行動をします。

 見わけもつきます。彼らは申し合わせて黒づくめです。

 武装をしていると武装集合罪に問われますので、銃やナイフなどは装備していません。

 スケボーやカラースプレーなどを持って現場に現れて、暴動を起こします。

 また、歩道の縁石などを砕いて投石を始めたりします。

 これがANTIFAでテロリストだと言われているのですが、そうではありません。

 まず、ANTIFAというのはアンティファシストの略なのですが、これは組織ではないのだそうです。

 明治時代のストームや、江戸時代のえぇじゃないかのように、誰かがまず声をかけると、それに同調した人たちが現場に現れて個々で勝手に破壊活動をしているのだそうです。

 この伝達にはSNSが使われていて、発信した人も同調した人もお互いを全く知らない、文字通りのゲリラ活動です。

 ですので、組織ではない。

 しかも、武器も持っていないので武装集合罪にも当たらない。

 テロリスト認定は出来ないのです。

 トランプ大統領が「あいつらはテロリストだ!」と言うのは、いつものアレです。まったく事実ではない。

 医療用麻薬で中毒者が大量に出たときに言った「メキシコのギャングのせいだ!」というレベルの発言です。

「おいおい、あんたが認定した法律で医者が麻薬を処方して死人が出てるんだよ」という。

 アメリカでは、20代、20代の黒人男性の死亡理由第4位が、警官による殺害だそうです。

 若い層なので、確かに病気や老衰と言った死因は少ないでしょうから、このようになることもあるのかもしれません。

 とはいえ、これが明確に大きな死因であるということは事実。

 アナーキストが政府への攻撃を動機する理由は、皆無というわけではないのです。

 そしてまた、ある説によれば、黒人男性によって死亡する警官の数は、その逆の場合の18・5倍もあると言います。

 根深い対立の構造があるわけです。

 そのために、プロテスターも、略奪者も、アナーキストも、それぞれが何らかの形でこの対立構造に関与していたり、日ごろから思っていることが募っているのでしょう。

 と、言うわけで、今回はこの3タイプの人達の区別を明確にしたところで次回に続けましょう。

 

                                                                     つづく


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