現在、アメリカで歴代大統領たちを見直そうという動きが盛んになっています。
アメリカのアイデンティティと言ってもよいような、建国の父ことジョージ・ワシントンですら、銅像が引き倒されたりしています。
彼が妻の財産であった大農場を抱えており、300人規模の奴隷を擁していたことが理由であるとも言われています。
そのワシントン、ネイティブ・アメリカンに関して「インディアンも狼も、見かけは違うが同じ獣だ」と発言しており、彼らを害獣だとみなして駆除するべきだという思想を持っていました。
人権意識において現代人とはとんでもない開きがあります。
ところが、そもそも昔のアメリカ人は否白人に関しては人権があるとも思っていません。
そりゃそうですよね。人権があると思っていたら奴隷にしたり駆除しようとしたりはしない。
彼等にとっては、黒人種やネイティヴ・アメリカンは同じ人間ではないのです。
第七代大統領に、アンドリュー・ジャクソンという人が居ます。
ジャクソン流民主主義という物を広めた人として知られており、奥さんを侮辱したガンマンと命懸けの決闘をして勝利したという人物です。
彼のことはずいぶん昔にも書いたと思います。
このジャクソン大統領、アメリカ初の被差別人種の大統領でした。
元々、WASP、ホワイト・アングロサクソン・プロテスタントというイギリスから渡ってきた人たちが南部で綿花を中心として産業を発展させ、国を開いてゆきます。
これが軌道に乗ってくると、次世代の移民としてアイルランドやイタリアから来た人たちが移民してきます。
この頃には、南部のWASPの人たちは現在に通じるアメリカ貴族として立場を確立しており、新参のカトリック系白人種を被差別階級として扱います。
アンドリュー・ジャクソンはスコットランドから来たアイルランド人で、父親は生まれる前に死亡、差別を受ける貧困層という環境で生まれました。
当時、大統領、いえ参政権と言うのは土地所有者の男性にしかなかった。
それを、貧困層出身で変えたのがジャクソンです。
彼は法律を変えて、すべての人に平等に参政権があるべきだという世の中を作りました。
ただ、このすべての人というのは、白人の男性に限ります。
ほら、ここでまた、前回の記事に書いたような、いい人だと思って目を合わせたら思ってる土台が自分とまったく違う、という目ん玉ギラギラの怖さが見られませんか?
つづく