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西洋海賊たちの闘争 4・英雄の末路

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 メアリー・スチュアートが処刑されたことで、フェリペ2世は激怒します。

 彼女の死の翌年である1588年、もはやエリザベスには遠慮は無用と思ったのか、スペインがイギリスに侵略を仕掛けます。

 度重なるドレイクら海賊の嫌がらせ的掠奪に対して、そのつど各個撃破するのではなく、裏に居る英国王室もろともに落としてしまえということなのでしょう。

 この時にイングランドに向かったのが、彼の名高いスペイン無敵艦隊です。

 小中学生の頃に、よく調子がいい奴のことを「すげぇ、無敵じゃん! 無敵艦隊!」なんて言ってましたが、世界史に残るこの無敵艦隊が出動したのです。

 この無敵艦隊、スペイン無敵艦隊とはいう物の、実際は例によって交合外人部隊の様相を呈しています。

 乗組員三万人、大型船130隻という編成は、出身地、民族の違う10のグループからなされていたと言います。

 マゼランの居たポルトガル、カステラの語源となったカスティリア、バスク地方に由来するビスケイ、憧れてることで知られるアンダルシア、ナポリなど、つまりはカトリック領土の混成軍だった。

 実際、この時にローマ教皇は彼らに対して十字軍としての承認をしています。 

 つまりカトリックにとっての敵であるとしてプロテスタント討伐という大義名分を与えているのです。

 それに対するエリザベス女王は、既存のイギリス海軍に海賊部隊を加えた特別混成軍を結成しました。

 ちなみにドラコことドレイクはこの大軍団の副司令官の座に任命されています。

 さらには、スペインにすでに入り込んでいたスパイたちによる情報戦においても英国は優位をしめていました。

 結果、海賊たちは無敵艦隊に火船攻撃という奇策を持って迎え撃ちます。

 これは、油やマーガリンを満載した船をひもでつないで火をつけたのち、風上からぶっつけてゆくという荒っぽい物でした。

 もちろんこれを受け持ったのが海賊衆です。

 途中まで乗船していて、あとは風任せで命中すると言うところまでくると火を放って海に飛び込みます。

 この、非常に少年マンガチックな攻撃によって無敵艦隊は半壊状態となり、撤退をせざるを得なくなったのでした。

 見事海戦に勝利した英国海軍は追い打ちをしかけます。

 1589年、ドレイクに150隻からなる海賊船団を与えて、無敵艦隊への止めとリスボンへの襲撃を指示します。

 しかし、この攻撃にはいくつも穴が開いていました。

 一つには、無敵艦隊の迎撃に成功したことからスパイ活動に対する必要性を低く見積もり、予算さえ削ってその分をドレイクらに回してことです。

 結果、情報戦における優位が失われてしまいました。

 この女王の慢心に加えて、ドレイクも謎のちょづきを見せます。

 女王との会議で決まっていた作戦をガン無視して、突然予定外の攻撃を無関係な街へと仕掛けます。

 こういう余計なことをしていたおかげでスペインが軍備を整えて、リスボンの防御を固めてしまいます。

 要塞化したリスボンの前にドレイク船団は手痛い反撃をくらい、陸戦に持ち込んでは熱中症と食糧不足で干上がってしまい、4分の3ほどの人員が死亡します。

 ほうほうの態で英国に逃げ帰ったドレイクは、落魄して故郷の町、プリマスで水道事業などのインフラ整備に従事して暮らすことになります。

 これらのおかげで、現在この港はドレイク島と呼ばれているそうです。

 そのまま余生を送るかと思われたドテイクですが、1595年、エリザベス女王にカリブ海に出たいと申し出ます

 女王はドレイクと従兄弟の海賊ホーキンスに、カリブ海でのスペイン領私掠の許可を与えました。

 いわゆるカリブの海賊です。

 こういった嫌がらせ作戦ならばドレイクにはお得意に物です。

 エリザベス女王はそれによってスペインの国力を削ぎ、国力を増そうという考えを持っていました。

 しかし、この航海は悪天候の年に当たり、ドレイクもホーキンスも、船上で病死することとなりました。

 二人の死体は海賊の流儀に則り、カリブで水葬となったそうです。

 

                                                                       つづく


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