ただいま、話題の韓国映画「悪人伝」が絶賛公開中です。
韓国では二年前に公開されたのかな。ハリウッドではスタローンがリメイクを作ると言うことでかなり話題になっています。
その中心に居るのはマブリーことマ・ブンソクさんで、こちらはハリウッド版でも同じ役を続投するとか。
この方がこの作品、およびムーヴメントの中心の俳優さんです。
身長170センチ台、体重100キロの元ボディ・ビルダーです。
もともとはコリアン・アメリカンなので厳密に言うとアメリカ籍の方ですね。
映画自体も多国籍な感じがどこか漂っていて、下敷きになっているのはマカロニ・ウエスタンの「グッド・バッド・アグリー」です。
これ、邦題は続・夕陽のガンマン。イーストウッドの作品ですね。
ただ、何度見てもいまいちこの映画のどこがおもしろいのか私にはわからないという名作です。
とはいえ、このように映画界には多大な影響を及ぼしている作品で「悪人伝」の英語タイトルはGOOD BAD DEVIL。
おいおい、三つ巴のはずがどうも悪の軍勢有利だな。
ここなのです、今日お話ししたいのは。
世の中には、悪しきものが蔓延しているのではないか。
そして、この世と言うのはその最前線であるのに、多くの人が意識しないで生きているのではあるまいか。
ということです。
悪人伝では、GOODである熱血漢の刑事が、署内の不正によって連続殺人の捜査がまともに出来ないために、ヤクザであるBADと手を組んで連続殺人鬼のDEVILを追跡する話なのですが、つまりはすべての力は悪に堕してゆき、悪こそがイキイキとしている、というような話になっていきます。
正しいことがまともに機能することは、いまの社会ではとても難しい、というお話なのですが、これ、昨今話題になっている韓国社会の生きづらさが土台としてあるのは間違いないように思います。
そして、日本と韓国の社会はとても似ているように思います。
だからこそ、機能しやすい悪や不正にみんな向かってゆく。
この背景を踏まえた上で、まったく逆のことを訴えようとしてくれている映画も見ました。
「ディヴァイン・フューリー」と言うオカルト・アクション映画です。
右手にキリストの聖痕が宿った総合格闘家が、バチカンから来たエクソシストに師事してソウルに潜んで人々を悪魔憑きの怪人にする闇の司祭を追いかける、というお話です。
もう、なんも面白くなさそうでしょ?
これがメチャメチャ面白い。
お話はみんな知ってる、死ぬほどこすられて来たお話です
上に書いた粗筋で皆さんが想像した通りの物です。
ただ、びっくりするほどウェルメイドに描かれています。
なんか、夏の名作邦画みたい。
そちらの映画では、明らかに悪と言うのが閉塞的な社会におけるステータスの無さ、映えなさへのコンプレックスなどとして描かれています。
それに対して、悪の反対の心とはどのように描かれているのでしょうか。
「勉強はしなくてもいい。正しく生きろ。困ってる人には力を貸してやれ。貧しい人には食べ物を分けろ。弱い者をいじめる奴は懲らしめてやれ」と言うシンプルな教えを魂に刻み込んだ「気は荒いけれど正しい」生き方が描かれます。
結構、夢に見そうな描写もあるのですけれど、それがつまりは現代社会の悪と言う物なのだと言うことが伝わり、そしてそれに立ち向かう姿には涙が溢れます。