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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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世界の危機が来る前に

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 最低の町に育った私だったけれども、その中で学んで自分で生きるということを見せることで教えてくれた友達がいる。

 彼は自称その町最速だという走り屋で、整備士の資格を持っていて自分でバイクや車をいじっていた。

 もし、世界の終わりみたいな危機が来るとしたら、私は間違いなく彼のところに行くね、とずっと思っていた。

 彼と知り合ったのは当時のバイト先で、彼は就職はしないで、そこのバイトと、整備士の仕事、それから建築の仕事を個人で受けて掛け持ちをしていた。

 出会った当時は18か19で、40過ぎたら引退して暮らすと言っていた。

 スモール・ビジネスを掛け持ちしていて、早期のセミリタイアという今でこそ言われているやり方を、90年代からやっていた。

 そのくらい、社会の仕組みや常識を信頼しておらず、自分の力で生きると言うことを自覚的に実行していた。

 常に物を学び続けていて、山の人達にくっついて行って狩猟を習ったり、CADが出たら自分で学んでサイディングに役立てたりしていた。

 私のところには喧嘩の仕方を学びに来ていた。

 世の中の上っ面の部分を軽蔑していて、信頼できないということを見抜いていたのだろうと思う。

 いま思えば、彼の生き方をだいぶ参考にしている。

 学歴とお約束でしか形成されていない日本経済と言うのが、馬脚を顕して崩壊をしはじめていたのが彼と出会ったころだ。

 先日ラジオで小耳にはさんだ話では、ようやく日本の学歴社会にも終わりが見えてきたそうだ。

 GAFAではもはや学歴は問わず、実力で人を取ると公示したらしい。

 日本でももうとっくに、一流大学を出て一流企業に入った人が当たり前にリストラされるようになっている。

 これからは世界経済がより深刻化して、その傾向が強くなるだろう。

 実力があって自分で生きる能力を獲得してきた人間の方が快適に暮らせる世の中だ。

 いい世の中だと言っては不謹慎だろうと思うけれども、学歴とお約束だけで成り立っていた社会が、どれだけの犠牲者を理不尽に出してきたのか、そしてその世界を支えていた反知性主義がどれだけの害悪であったかを思うと、やはりどこかでそう思わざるを得ない。

 IT土方なんて言われていた日本のPC入力業の人々たちなんて、海外のレベルで見れば年収数千万クラスの仕事をしている人々だそうだ。

 GAFAが求めている人材とは、おそらく彼らのような人々なのでしょう。

 食料自給率は最低、天然資源は無し(メタンハイドレートはどこいった?)、人口は半世紀後には半減になる予定のこの国で、どんどん形式主義の有効性は低下して行って、世界基準の「本当のこと」が広まってゆくのではないだろうか。

 そうなった時に「子供のころに成績が良かった」というだけを担保に一生食べて行ける人なんて、どのくらい居るのだろう。

 このあいだ、ある人気女優さんが結婚して、お相手が東大卒の外資系企業社員で年収が推測5000万だという話がネットニュースでながれてきたけれども、日本の最高学府を出た人間は、もうバカみたいな風習がまかり通っている日本企業や役人の世界になんて行かないということだと言う話を聴いたことがある。

 無意味だから。

 昨年の日本の平均年収が436万。

 もっとも年収が高い業種はインフラ関係で、平均743万らしい。

 確かに、何もしなくても在籍さえしてれば毎年それだけもらえるのだとすれば良い金額だ。

 でも、同時に月収100万越えのウーバー配達員がいるのも事実。

 一方で、不動産価格はどんどん下がっていて、空き家問題が深刻化しているし、人口が減ってるってことは今後右肩下がりで不動産価値が落ちてゆくのはまず間違いない。

 そして、とどめのCOVIDで町の不動産屋さんがどんどん倒産危機だそうな。

 もう、既存の価値観がなんの役にも立たない時代になっていると言っても良いのではないかと思う。

 おそらく、近日中に政府から2050年までに排ガス規制で現状の自動車は全て常用禁止にするという発表がされるなんて話も来ている(10月24日執筆時現在)。

 これまで価値があるとされていた物の価値がどんどん下落していく。

 その中で、国が次に価値を見出しているのがITとインバウンド経済。

「依存者を出すからカジノ反対」なんてことを言っている場合ではないのではなかろうか。

 もう、次の時代の状況を想定して動いている。

 このパラダイム・シフトの中で、ニュー・ノーマルを築いてゆくのか、オールド・ノーマルにしがみついて行くのか、二極化の分断が始まると思う。

「もう十年、月収14万だけど日本おわってますよね」って発言に対してある人が「終わってんのはお前だよ」と答えたという話を聴きましたが、まさにそういうことなんじゃないのかな?

 上に上げた平均年収の表にあったのだけれど、女性の月収になるともう20万円代だそうだ。

 なんだよそれ。

 ひどい話だ。

 年収にしたって月100万円のウーバー配達員の三か月分以下だ。

 だったら、その立場にあえている意味ってなんだろう?

 これまでは何がしか、守るべき既得権益があったんだと思う。

 それは補償や安心感かもしれない。

 でも、今後もそれがもう通じるかどうかは分からないよ?

 何が言いたいかって言うと、私は別に、月収や年収はなんでもいいんだ。

 そんなことよりも、もうこれまでのお約束や常識なんてものは何も自分を守ってくれない時代なんだから、自分が好きなように生きた方がいい人生になるんじゃないの? ってことだ。


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