いま現在、アメリカでは大統領選が行われています。
これはね、日本の多くの人々にもぜひ知っておいてもらいたいのです。
一体いま、現実に何が起きているのかを。
というのも、ここではもう何年もに渡って、現代社会の構造を書いてきたからです。
本当に、初期のころは構造主義の視点からみた原始社会の話を書き、キリスト教の伝播を書き、世界大戦について書き、西洋文明が東洋思想に影響を受けて近代思想が生まれていった過程を書いてきました。
それから、カトリックからプロテスタントが生まれて、そこから資本主義が生まれてきた歴史と言う物もずっと書いてきました。
ほとんど、断片的サピエンス全史みたいな作業をずっとしてきました。
そうすることで浮かび上がってくる、現代社会と昔からの文明社会の共通性を浮かび上がらせて、その中で生まれてくる人の病を書き、それに対策するために人類が用いて来た哲学という物に関して書いてきました。
そうして書いてきて、いまここ、我々はここに居るんですよ、ということを書いてきました。
その、私たちの「いま」「ここ」を最も如実に現わしているアイコンともいえるのが、世界最大の民主主義国と言って差し支えないはずのアメリカです。
そのアメリカでのリーダーを決める選挙が、いままさに行われているのですが、まず改めて整理したいのが、共和党のトランプ現大統領というのが、保守派のキリスト教徒、およびCO2を大量に出す産業による経済復興を推進している人です。
彼の政治方針というのは、ポピュリズムと呼ばれる物です。
ポピュリズム。大衆主義。
これ、彼が大統領になった直後、私はそれを衆愚制と言ったりイディオクラシー(バカ主制)と言ったりしました。
大衆蔑視という、私が人に眉を顰めさせる傾向です。
でもいま、多くの専門家が彼の問題を、反知性主義って言っているんですよ。
結局、この四年の間で、大衆なんていうオブラートでくるんだ言葉はもう言ってるどころじゃなくなって、大衆=バカってもう言っちゃうくらいにまで世相が追い詰められてしまったんですね。
それにはもちろん、世界的な危機であるCOVIDの影響もあるでしょう。
トランプ大統領は、大衆は問題が起きたら誰かを指さして悪者探しをするものだという特性を利用して、COVIDが起きたときも一切有用な対策をせずに「あれは中国のせいだ」と言い出しました。
いまでも彼はチャイナ・ウィルスという言葉を使っています。
そして、まったく対策をしていません。
結果、アメリカは世界最大の感染者と死者を出しています。
全てがこの調子です。
でも、それでも彼の支持者は付いてゆくんです。
それは、バカが好きそうなことを言ってるから。
これは彼の政治的な手腕なんです。
自分は自分の支持者のための大統領だと彼は明言しています。
アメリカ全国民の大統領ではないんですね。
実際に、今回の選挙でも彼を支持しないカリフォルニアやニュー・ヨーク州に対して「カリフォルニアは地獄に落ちる」とか「ニューヨークは地獄いきだ」とか言ってるんです。
自分に票を入れなかった国民にそんなこと言う大統領、います?
これと似たことがいま、日本でも起きてますよね。
自分を支持しない学者は法で保障された権利を得られないんだ、ってやってる政権がありますよね。
それ、なんの問題って言われてますか?
反知性主義ですよね。
そう。まったく同じことが日本でも起きてるんです。
民主主義が一定のところに煮詰まって、世界的に反知性主義が問題であると言うことになっているんですよ。
その、反知性主義を推し進めてきた軍勢の大親分がトランプさんだと言ってもいい。
彼の支持者の間では、Qアノンと呼ばれる陰謀論を信じている人が沢山います。
これは、ユダヤ人がハリウッド・スターや共産主義者、黒人種と手を組んで「闇の政府」を作って世界を支配していて、子供を生贄にした悪魔主義の儀式を行っている、という物です。
そして、その闇の政府から世界を救う救世主がトランプさんなのだという陰謀論です。
え? なにそれ?
ユダヤとハリウッドと共産主義者と黒人?
全然バラバラじゃん。
それがグルだったらもう、世界なんてとっくにもう表立って支配されてるよ。
逆にもう平和な世界だよそれ。
こんなバカなことを信じてるんですよね。
実際に、ピザゲート事件というのがあって、この陰謀論を本気にした人が銃器で武装して町のピザ屋さんを襲撃した事件がありました。
そのピザ屋さんで悪魔教の人身売買が行われていると言う陰謀論があったからです。
実際に、そのようにして信じてる人が犯罪を犯しています。
また、上院議員の中に票を得るためにこの陰謀論を引用して大衆を扇動している人もいます。
それは日本よりだいぶ進んじゃってるな、って思う人もいるかもしれません。
でも、実際に日本でもキリストとは天皇陛下のことだ、って信じている総理大臣夫人が居たり、日本人は他のアジア人より優秀だって信じてる人が居ますよね?
全然変わらない。
これが世界的に、その手合いの輩が問題になっているってことです。
だから反知性主義への問題視がいま、これだけ取り上げられているんです。
それでね、その、アメリカの反知性主義側の親玉は、陰謀論を信じているような支持者の過激派の連中に「スタンド・バイ スタンド・バック」と言いました。
つまり「待機せよ」という指示を出したということです。
トランプ大統領は、このような指令を過去も出しています。
四月にミシガン州で民主党の州知事がロックダウンの州令を出した時に、トランプ氏は「ミシガンを開放せよ」というツイートをしました。
その「指令」をキャッチした過激派右翼の人々が銃で武装してデモ隊を結成し、庁舎へ乗り込むと言うことが起きました。
今回の選挙戦でも、すでに同様の愛国者団体が別の民主党系議員を拉致する計画を立てて逮捕されています。
このような事実が積み上げられている中、アメリカの投票所内で武装してたむろしていていいという決定が裁判で可決されました。
アメリカの最高裁での判事の九人のうち、三人は民主党の選定した人たち、残り六人は共和党の人達です。
だから、最高裁判に持ち込めば共和党はまず勝てる布陣ですよね。
この配置があった上で、各地で投票所が閉鎖されています。
非白人種の居住区の近くで、なんの告知もなく閉鎖されているんです。
だから、低所得地域の人達や有色人種の人達は重火器で武装した人たちがスタンド・バイしている投票所までいかないといけない。
もともと、アメリカの選挙って時間喰うらしくって、六時間くらい並ぶこともあるそうなんですよ。
それが、もっと並ばないといけない。
それを武装した過激派が包囲してるんですよ。
投票所に行かないでもいい方法があって、それは期日前投票、郵便投票です。
町に設置された専用の投票箱に、投票用紙を入れるんですね。
でも、これの偽物がすでに沢山発見されています。
何者かが勝手に偽物の事前投票箱を設置して、そこで投票用紙を持って行ってしまうんですね。
不思議なことに、銃砲店や教会の近くで発見されているらしいんですけどね。
トランプさん自身は、郵便投票は信頼していない、もしそれで結果が付いたら裁判を起こすと言っています。
例の最高裁に持ち込むって言ってるんですよ。
片やでね、民主党支持者、というか、反トランプ支持者の人達の間では、いまBLMの活動がまた熱くなっている。
つい最近もまた、一人黒人の男性が警察官に射殺されてしまったからです。
デモが起き、暴動となって車に火がつけられて交戦状態となっています。
そのような場所に、アンタイファ、アンティファと呼ばれる人々も乱入しています。
これはアンティ・ファシストと呼ばれる無政府主義の活動家たちで、暴動が起きそうなところに行くと率先して暴力行為を行って暴動を引き起こす人達です。
そうすることによって、ファシズム、つまり、大衆による結束主義に抵抗している人たちです。
はい、ちょっと算数の問題のようなお話です。
武装した過激派右翼が待ち構えている投票所+怒れるBLM活動家+アンティファ=どうなりそうでしょうか?
もし、投票所で暴動が起きて、投票箱が燃えたり爆破されたりしたらどうなりますでしょう?
有効性が問われますよね。
そうなるとどうなるでしょう?
最高裁に持ち込まれることがありえます。
もう、そこまで配置しているのですよ、反知性主義の体制は。
世界の最先端の民主主義のリーダーを決める選挙のはずが、まるで人類が初めて選挙をした時のようになっている、と言ったアナリストが居ました。
武力に物を言わせる気で待機している猛れる軍勢同士が直接対峙をしようとしているのです。
まるでシヴィル・ウォーです。
これがいまのこの世界の現状です。
繰り返しますが、決して日本と関係ないことではありません。
選挙結果は必ず日本に直で影響をもたらします。
もちろん、トランプ氏の日本との関係は良好ですし、民主党政権となればまたアメリカはどこかの国と戦争をする可能性が高い。民主党ってのは代々そういう政党です。
でも、それだけではなくてね、このパラダイム・シフトの時期に世界の民主主義の最大の規範やデータの観測所であるアメリカで起きたことは、必ず日本でも模倣されるのです。
反知性主義でいいやという空気が蔓延することは間違いがない。
だからこそ、心ある人は、いまアメリカで起きていることをつぶさに目撃して、これから起こること全てを自分の身につまされるべきだと思うのです。
もちろん私もそこで感じた全てのことを肝に銘じて生きてゆくつもりです。