アジア文化の伝承者として、タオやそのルーツとなったインド神話についての記事をこちらに書いてきている私ですが、実は以前にシヴァ神とカーリー女神の神話がクンダリニー上昇を表現していると書いていた時から、日本にある道祖神もそこに由来しているのではないかと思っていました。
と言うのも、道祖神というのは私の住んでいる関東地方では、男女和合の双体像として祀られていることが多いのですが、中には堂々とした男根崇拝像として置かれている物もあるためです。
この形状が、ローマにおけるファルス信仰の物のように通常に男子についているのと同じ状態で飾られているのではなくて、下から上に局部だけがあるというインドのシヴァリンガと同様の形をしているためです。
また、双体像であってもその輪郭がこのシヴァリンガの形状をしている物も多い。
いわゆる東海道沿い、宿場町に住んでいるため、馬頭観音像とこの道祖神は非常に身近な存在です。
男根そのものでなく、男女の双体として描かれていても、これが性行為を意味しており性的エネルギー、中国で言う「精」を意味していることは明白です。
あるいはより具体的とも言える。
男根の場合は、その気、ご加護が道を通って田畑に到着し、女体であるその土壌を孕ませることによって五穀豊穣を意味しているために、その経路となる道が守護されるということと五穀豊穣と言う二つのそれぞれ違ったご利益が一体となっているということが分かりやすい。
日本各地に、その物の巨大な男根の彫刻物や、そこまで細工はされていなくても大きな柱、切り落とした樹木などをご神体として決まったルートを経由させ、農作地に運ぶという祭りがあるのは全て、同様の意味を持つものではないかと推測します。
この、道を通って男女神の融合になる、というのはヨーガのクンダリニー上昇と非常に共通しています。
しかし、日本においては移動するのは男性神であり、女性側ではないのですね。
これは平安時代の通い婚の影響があるのでしょうか?
そういえば、双体神は烏帽子をかぶっている物が多い印象があります。
この神様を調べると、男性は猿田彦神、女性はアメノウズメノミコトだと言います。
おっと。
ウズメの命についてはついこの間書いたばかりですね。
日本における、舞踊の神であり、巫女の面がある女神であり、性の力を表現している神様です。
これはやはり、性的エネルギー信仰であることに間違いはない。
猿田彦神と言うと、道案内をした言い伝えのある神様だ、ということでこれ自体はあまり性的な印象はありません。
ただ、鼻が長くて天狗の祖であるというので、あるいはこれはその鼻が男性器のメタファーであるのかもしれません。
しかし、実際に双体神像を見てみると、女性側はかぐや姫のような雅な女性であり、男性も平安的な顔立ちの貴公子として描かれていることが多い。
男性器を隠喩するなら男性神側に鼻が誇張されていそうな物です。
それよりも、お二人のなまめかしく身を寄せ合っている姿からの「和合」の表現の方がよりなまめかしく強調されている物が多いように思います。
では、この男性神が天狗の祖であった、というのだとしたらどうでしょう。
すなわち、外来の人であったという考えも出来ないでしょうか。
つづく