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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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ラジオの声から

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 私はテレビは基本的に観ないのですが、ラジオは終始聴いています。

 FMで自分が住んでいる地域の天候や交通の情報をオンタイムで聴き、世界情勢をリアルタイムで聴くチャンスを得ています。

 ラジオと言うのは基本、聴視者の働きかけに対して番組側がレスポンスしてゆくメディアなので、世間の人々の意見が多く感じられると言うのも役に立つ部分があります。

 ある朝に聴いていたラジオでは、いまのこの国の緊急事態に対する人々の意見が読み上げれていました。

 その中に、「これまで緊急事態宣言や蔓延防止法で気を使って不要不急の外出はしないようにしてきたけれども、政治家も官僚も街の人達も外に出て遊び歩いて感染を広げている。もうバカバカしいので自分も我慢はしない。好きなようにする」という意見がありました。

 老獪なベテランパーソナリティはおやおや、こういう意見があるんですねえ、皆さんたまってるんですよ、とうまい具合に対応していたと記憶しています。

 一方、別の番組ではやはり同じ問題を取り上げていた折に、DJがコメントしました。

「いまの世の中では、もう一年も不要不急の外出はするなって国が言っていて飲食業や興行界が大変なことになっているけれども、それをやっている政治家や官僚は平気で出歩いて会食をしたりしてる。それを見て、もうあんな奴らの言うことを聞いてられるかって言って同じように外に出て飲みに行ったり遊び歩いたりしてる人が出てくると思うけれど、ぼくはそういうのは最低だと思う」

 はっきりと、明らかにいまの日本の状況からすれば彼の番組を聴いている「お客さん」の中に大多数居るであろう人達にそういう言葉を突き付けたのですね。

 それが彼の訴えかけだと思うのですよね。

 その言葉を聴いて、恥を知って出歩くのを辞める人が一人でも増えるようにという働きかけだと思いました。

 中にはそれに対して反感を感じて、もう彼の番組を聴かなくなった人も居るでしょうけれども、それを見越した上で彼は発言をしたのだと思うのですね。

 一方、最近聴いていた番組では、メイン・パーソナリティの作家の先生が、地元九州に移動して聖火ランナーをやっていました。

 そのことに関して番組では一言も言っていなかったのですが、ニュースで放送されたのを見たリスナーからのメールを紹介する形でこのことが発表されました。 

 それに対してこの先生は「まぁもう、あれもいいならこれもいいということで」などと半笑いにごまかした発言をしていたのですが、このあれ、というのはもちろん国が優先しているオリンピックのことでしょう。

 この先生、仕事論などでもっともらしいことを講義したり著述をしたりしている人ですが、結局はそういう大手の事業の参加者側、オリンピックの主導者側です。

 彼の番組は私はもう聴かないことにしました。

 しょせんは商売人、あまり期待しすぎてはいけません。

 あれもいいならこれもいいだろうなどと言い出す人間を「最低だ」というDJの方が私には信頼できます。

 そのDJだって、公の放送でその発言をしたんですね。

 どうも話によると、オリンピックに関する否定的な意見と言うのはテレビではあまり放送されないそうですね。

 結局、テレビ局が放送権を獲得している手動側の組織であるので、自らそのことに反対するような番組作りはしづらいのだそうです。

 そういう環境にある、このような時世であるからこそ、各人の倫理観と知性が証明されます。

 私はこの国が、上に書いてきたような政治家や官僚、大衆の国であろうと思って生きてきました。

 それでもいざと言う時にはまっとうなことが分かっている人であろうという信頼が最後のところではあったのですが、それは幻想であったことがこの二年で明確に証明されたと思います。

 件のDJは同じ番組で言っていました。

「いま、こういう時期だからこそ、暇だから遊びに行こうぜって誘ってくる友達が居たらそいつとの付き合いは見直す時だと思うし、付き合ってる同士だったら彼氏や彼女が、退屈だから外に行こうって言ってきたら、そういう人間とその後、本当に長期的に付き合って行けるのかよく考える時期だと思う(大要)」

 人間の質が証明されているのだから、こういう世情に対して反発や疑問を感じる人たちは、もう何も遠慮する必要はないと思います。

 思うように、自分が正しいと感じる方向に生きるべきだと思います。

 遊び歩いて飲み歩いたりするような連中に合わせて生きようとする必要は何もない。

 自分の倫理と知性の働きを阻害されるだけです。

 他人に何と言われても、まっとうに生きたい人間は堂々とまっとうな道を行けばいい。

 堕落に寛容になった結果自分まで堕落する必要はありません。

 この国はもう、完全にバカの国です。

 ちょっと数字で一例を上げましょう。

 上の話に出したオリンピックの予算はいくらでしょうか?

 一兆三千五百億円です。

 このコロナ禍の最中に国民を観光させようと言うGO TOトラベルの予算はいくらでしょう。

 一兆七千億円です。

 ワクチンの開発につぎ込んだ予算は?

 千二百億円です。

 信じられない位にワクチンに対する額が少ない。

 初めてこれを聞いたときには目が眩む思いでした。

 あれ? 私、間違ってる? 億って兆より一桁下だよね? 万より一つ上だったよね? と非常に混乱しました。

 この数字に国の認識が現れています。

 では、開発に失敗して、海外からワクチンを入手して国民に摂取させるための費用は?

 二千八百九十四憶円です。

 遊び廻らせるお金よりも、命にかけるお金の方が一桁額が少ないんですよ。

 こんな税金の使い方する国と、それに乗っかってる国民とがやってる国、バカの国以外になんと表現すればよいのか私には分かりません。 

 いまの日本の状態を、インパール作戦当時に例える人たちを沢山目にしますが、恐ろしいのは戦後八十年経っても、日本人の民度とその性質という物が何一つ成長していないということです。

 正常な人間なら、違和感を感じて当然です。


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