この記事を読んで、ゾッとしました。
まぁ、この記事で取り上げられている先生が実在する人なのか、このような件が本当にあったのかは定かではありません。
あくまでもし本当のことであるならば、というお話になります。
何がゾッとしたかと言って、このトロッコ問答、私もこれまでに何度も引き合いに出してきましたが、この先生、この記事でも取り上げられているサンデル先生の本を読んでない。
意味が分からないまま何となくフワッとした倫理の問題みたいなうっすいところで取り上げている。
このトロッコ問題は、いままさに、現政権がこれからどう取り組んでゆくのかが注目されている新自由主義の例え話です。
サンデル先生の本では中盤から後半にかけて、この新自由主義、および過剰化したリヴァタリアニズムの影響で世界情勢がどうなっていくかということに取り組んでいたと記憶しています。
つまり、超越的な立場に居る人間が市場経済の先行きを見通して干渉することの是非をこのトロッコになぞらえている訳ですね。
別に良いとか悪いとかいうアホの考えるようなことを言っている訳ではない。
なので、ここに出てくる生徒の意見と言うのはもちろん著書中にてとっくに出ている物であって、干渉には責任が伴うが保障はどうするのか、また無干渉であった場合にはその責任が生じるのではないか、と問題提起が書かれています。
そんなとっくに書かれていることにうろたえている倫理教師などと言う物が実在したのだとしたら、いや、本当に恐ろしい話です。
あるべき形としては恐らくね、生徒からそのような発言が出て時にこの例え話が何を意味しているかを解説し、不干渉を貫く新自由主義と言うのはどのような物で、その結果いまの長年にわたる経済環境が続いているのであって、だから今後の与党の新総裁がそれに対してどう手を打つかが重要なのだよ、ということを教えてあげるところではないでしょうか。
そういうことによって、生徒たちは自分たちの倫理観と選択が社会や経済の構造と直結していることを理解し、自分たちの逐一の行動が社会参画になるのだということを学ぶのでしょう。
それを伝えずに良いだ悪いだみたいなアホな二元論で物を見ようとしてませんかこの先生?
そういうレベルで教壇に立って物を語るから、世の中に悪者探しをして責任逃れをするような馬鹿な大人が増えるのでは?
つまりこれは、愚民化政策における愚民化教育の現場の悪辣な手管を目の当たりにしたという恐ろしい事例なのだと思うのですよ。
また、読んだ感じではこの教師にそこまでの自覚は無い。
つまり、彼自身も愚民化政策で愚民化してしまって、次の愚民を育ってていると言う、救いの無い哀しい愚民化社会の現実が突きつけられ訳ですね、この記事を読むと。
ゾッとします。
例え話だけで中身の無いという恐ろしいことを話して倫理の授業だとか言えてしまう物を考える力の薄弱な大人が、同じタイプの大人を製造している。
これでは、学校に行けば行くほど馬鹿になる側面があるということになってしまう。
そして個人的にはそれはたぶん、真実なのです。
物を考えるという基本をきっちりと養う場を、これからを担う世代にはしっかり提供しないといけません。
私達の活動はすべて、そこから始まっていると言って良い。