いまは老師が、五祖拳の二十拳という拳套を教えてくれています。
去年教わった時に順番は覚えてずっと練習してきたので、いまは中身のことをとくに重視して耳を澄まして習っています。
どうも、三戦のみならずこちらも母拳であるとのことでしたので、三戦とは異なる別の要領の基本なのだと解して咀嚼しています。
二十拳の特徴は二つです。
一つは、四方八方にやおら振り返るという構造なのですが、この構造、ラプンティ・アルニスの対ゲリラ戦用法のサヤウ(套路のようなもの)に共通しています。
トンドをアジトとしている五祖拳から流れ込んだものかもしれない。
もう一つの特徴は、拳(チュエン)と呼ばれる直突きの要領です。
この動作は、三戦には入っていないので、別要領としてここで用勁を養うのでしょう。
老師が曰く、この要素は羅漢拳の色合いが強いと言うこと。
三戦は白鶴拳の要素がたっぷりという感じなので、その原型である羅漢拳の要素をこちらで学んで一流の基とするということなのでしょうか。
これに関して、私は初め、心意のやり方でやっていたのですが、思うところあって白鶴拳の体用を重視してみることにしました。
そうすると、これがまた別のやり方で打てる。
具体的に言うと単重と双重の違いなのですが、この違いによって根本に近いところの身体の遣いが変わります。
実に面白い。
老師から教わった、上に昇る龍の気の流れと、下に向かう虎の気を意識して行うと、とても五祖拳らしい拳になるように感じています。
やはり、それを感じるには三戦をやっていたことが良かったと思います。
いままで知らなかった五祖拳の世界がこうして少しづつ見えるようになってくると言うのは大変に嬉しいことです。