手ほどきという日本語は、柔術に由来するそうです。
柔術を学ぶ時に、初めに相手に掴まれた手を解いて抜くことを学ぶことから、学芸の初歩のことを手ほどきと言う様になったと言います。
この手ほどき、実用の際には相手の手を解いて持っている刀を抜くために必要な物だする先生が居る一方、そんなのは妄言で技法体系の根幹の力の使い方を得るために必要な極意に通じる物だという先生もいます。
フィリピン武術では、実際に相手の手を解いてこちらが武器でしばき倒すために必要な技法として用いられています。
中国武術でも、これは実用に徳のある法として伝えられています。
これは中国武術の常とう手段として、掴んでおいて打つということが行われているためでしょう。
それに対してやり返すために、相手の有利な掴み方を利用するか、それを解いて取り返すという攻防が成立することになります。
この、中国武術の手解きのことを解擒と言います。
柔術には中国武術から派生したと言う伝承がありますので、この辺りの技法がそのまま伝わったのかもしれません。
このように、いくつもの武術に存在する同様の手解きという概念ですが、中国武術の中でも門派によってやり方が変わってきます。
中国武術は門派によって身体の使い方が変わりますから、それぞれの門派の身体の用法に則った手解きがあります。
最近教わったのは白鶴拳の手解きなのですが、これは非常に独特でした。
以前に白鶴拳は、鶴の羽の部分の要素と首の部分の要素があり、首の部分は蛇のようだと書きました。
白鶴拳の解擒もこの蛇のような要領で行います。
掴まれたところから、蛇のように抜け出す。
これは非常に面白いし不思議な感じです。
スパッと切ったりもろりと外すような感じではありません。
ぬる~っ、と抜け出します。
打法に関しても、どこかぬるりと独特の当て方を行います。
やはり、門派の身体観と一致していて外れるところがありません。