ひところ、ちょっと面白いことを言う興味深い人物だとしてこちらでもよく取り上げていた自称「百獣の王」氏が最近、気になる発信をしていました。
曰く、ある専門家にゴルフの身体の使い方について教わったのだそうですが、その時にこれまでまったく気づかなかったことを教えてもらったというのです。
そして、それを意識すると全体の動作のバランスがまったく変わる。
そのことに注意してテレビなどでプロゴルファーを見ると、みんな同じことをしている。
そこで百獣の王氏は結論したのですね。
「ゴルフは見た目ではわからない」
この方は基本だけ覚えたらあとは独学で陸上を学んで、自分の力と思考力で記録を出してきたというすごいアスリートです。
それが、自分独自の流儀を打ち立てた物の、そんなのを教えてコーチ業なんてしているようでは対してお金が稼げないからとプロゴルファーを目指してもう何年もです。
お話を聴く限りでは、十年以上は経っているのではないでしょうか。
いろんな大会にエントリーしたりしてゴルファー目指して頑張っているのですが、一向にプロゴルフ界で活躍しているという話を聴きません。
その結論が「見た目じゃわからない」。
個人的に横から口を挟ましてもらえれば、これは動く競技と動かない競技の差ではないでしょうか。
格闘技と本物の伝統武術の間の認識のギャップはこれです。
格闘技しか知らない目から見ると、中国武術の動作はパンチはキックに見えるんですよ。
でも、本当に大切にしてることはそこではないんですね。
伝統武術側の目から見ると、格闘技の動きは「立ててない、歩けてない、呼吸もまった出来ていない」ということになります。
中国武術が立つことだけに延々と時間を費やすということはよく話のネタになります。
ブルース・リーが「だから伝統武術の練習なんてのは無駄なんだ」と言ってぴょこぴょこ跳ねる西洋式のスポーツを重視していたことは著書に明記されています。
でもそれは、本質的には代替されません。
大切なのはパンチでもキックでもなく、立つことや歩くことです。
パンチやキックのようなトリックをしても、ちゃんと立ったままでいられるし歩き続けられる、そちらの方が大切です。
こういった視点が、動く物と動かない物では逆なんですよ。
おそらくはゴルフでも、よく飛ぶボールや格好の良いスイングに目が行きがちで多くの人がそこを模倣すれば向上すると思うのでしょうが、百獣の王氏の学んだことはそこではないのではないかと推測します。
動いてない部分、止まっている部分こそが重要だという物が世の中にはあるのです。
これは彼と同じく、きちんとした識者から直接教わらないと本当には分からない物なのでしょう。
だからカンフーは認識能力であると私は書き続けています。
こういうのを、通称「ラテン語」と言う表現があるのだと最近知りました。
ある種の学問の専門家が他の学問の何かを見た時に「あ、ダメだこりゃ、ラテン語だ、分からない」と言うように使うのです。
つまり、専門家にしか分からないコードで形成されていると意味の表現です。
これを素人が俗世の言葉でわかったように解読すれば、当然真意にはたどり着きません。
まずは物事を正しく学ぶという姿勢から始めないと。