先日、友人と私の研究している身体文化、古い精エネルギー信仰に関することについて話していたところ「自分にはまったく理解できない」と言われました。
以前にも書いた通り、戦後社会によって洗脳され切った現代人が昔の人達のことを理解するのは大変に難しいことです。
それを理解するためには、相当な訓練と学問的な相対化が必要になります。
その分別を付けるところからではないと、本当の意味では古伝の学問というのは始まらないようにさえ私は思っています。
私はずっと、七年くらいの長きにわたってここで現代日本人がどれだけ洗脳されて思考停止しているかということを、世界史や思想を土台として書いてきました。
最近、戦後日本人が明らかに特定宗教団体とそれに癒着した政権によって意図的に思想、教育を誘導されてきたということが暴かれて、日々報道されています。
そう。洗脳の専門団体から本当に洗脳されていたのですよ、私たちは。
いくらなんでもまさかこんなダイレクトなことに60年もなっていたとは思いませんでした。
私が思っていたよりずっと直接的で即物的なお話でした。
この件に関しては、また改めて書きたいと思います。今回の主題はあくまで「現代人は古代の人達のことを理解するのはまず難しい」というお話です。
このことについて、私は身体哲学の研究者としての面からずっと書いてきているのですけれども、上の社会的な洗脳とかではなくて純粋な肉体的な見地からのお話を最近知りました。
大東文化大学の山口謡司教授のお話によりますと、紀元前千年のギリシャ人は、左右の脳が現代人のように連絡していなかったというのですね。
ですので、普段は左脳が独立して働いて生活をしていた。
ところが時々、何かのショックで右脳の発想が通電してくることがあります。
これが託宣の科学的解釈であるというのです。
我々中国武術、気功の世界で言う元神と言うのもこういうことだったのかもしれません。
このように、古代ギリシャ人にとって神々が身近だったのは、かような解剖学、生理学的な理由があったそうなのですね。
ここまで明確でなくても、生活環境によってホルモン分泌などは大いに変わるでしょうから、世界中のあらゆる気候、生活環境の人間の脳や神経機能が同じように働いていると言うことはできません。
そもそもの構造がまったく違うのです。
現に、たかだか200年後の紀元前800年くらいのギリシャ人の脳では、左右が繋がっているというのです。
でね、骨格や筋肉、神経の連絡と言うのは個人差がとても多い物です。
骨が多い人も居れば、筋肉も多い人も居る。
なので、現代人でも左右の脳の連絡が円滑な人も居ればそうでない人もいることでしょう。
そういったフィジカルな事情を「霊感がある」とか「神と通じている」で思考停止していれば古代人と変わらない。
人類の2000年の進化の歴史を0と見なすかの如き思考停止です。
サヴァン症候群などはこのようなことなのでしょうと臨床的に見なすのが叡知という物ではないでしょうか。
このように考えるのが、正統な身体哲学であり、身体文化だと私は考えています。
ですので、オカルトもスピリチュアルも否定です。
その考えからは何も教育されません。
精神が栄養されず、存在が向上することはない。
話を戻しましょう。
かように科学的な根拠もあった上で、現代人がただ書面だけで古代人のことを理解するということは、まずもって不可能だということです。
違う身体構造と脳の発達をした別種の生物だというくらいの彼我の分別を付けて初めて、学問的取り組みが可能であると思われます。