前回、RRRの主人公の一人、炎の男について少しふれました。
彼の名はラーマといいます。
もう一人、水の男の名前はビーマ。
ビーマの方は、さらわれた娘の部族の若者で、彼女を取り戻すためにデリーにきた若者です。
この設定、どこかで聴いたことがある‥‥と思ったら、これ、トニー・ジャーのタイ映画「トム・ヤム・クン!」にそっくりです。
トニー・ジャーの方では村からさらわれた象を取り返しに「象を返せ!」と白人種の街、シドニーに乗り込んでゆく話なので、人間と象を一緒にするとは何事かと怒られそうですが、これ、そうとも言い切れないのです。
彼らにとっては象は神様、ガネーシャの眷属です。
ガネーシャというのは象の頭をしたインドの神様ですね。
タイは仏教国なのですが、インドから仏教が伝わった時にヒンズー教と混ざって伝わってきてしまったので、宗教的な混交が起きているのですね。
で、このガネーシャというのは、インドの破壊神であるシヴァ神の息子です。
破壊神というとパンクな悪魔教的な印象を受けてしまいがちですが、彼が破壊するのは既存の価値観や社会です。
つまり、ブレイク・スルーの神様なのですね。
彼の破壊の側面を象徴するエピソードは、人間が修行することによって向上して神のような力を得るという修行法、ヨガを開発したという物が有名です。
これによって、彼より年かさの神々は人間に権威を侵されて既得権益を奪われると激怒します。
イギリスの統治に対するインド人の革命に重なりますね。
なお、このヨガの修行によって悟りを開き、仏教を拓いたのがお釈迦様です。
この仏教とともに中国に伝わったヨガの行が、気功であり、カンフーです。だから少林寺がカンフーの聖地なんですね。
少林寺の武術と言うと、実は看板となっているのは棍法です。
というと、孫悟空の如意棒を思い出す人もいるかもしれません。
孫悟空のモデルは、インド神話に登場する神猿ハヌマーンだと言われますが、彼には兄弟がたくさんいて、みんな超常的な能力を持った英雄です。
その中の一人に怪力の英雄、ビーマというのが居るのですが、これがRRRのもう一人の主人公、水の男の名前です。
つづく
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RRRをより楽しむために! 5
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