老師は点穴療法の名人として知られています。
何度か施術されるところを横から見させていただいたことがあるのですが、それは私がそれまで思っていたような「ツボを突いて治す」というような物とはまるで違った物でした。
相手の身体の表面を、指先でちょっと触れてすぐ別のところに移動させ、くるくるっと回したかと思うとまたすぐ別のところに触れて指先でしゃっしゃっしゃっとなぞって、はい終了、というような物でした。
全然、指の力でぐいぐい押して物理的に肉をほぐすと言うような物ではありません。
やっぱり、気功の作用でなさっているんでしょうね。
私はいま、その前段階として勉強しておこうと鍼の練習をしています。
世間一般では、鍼なんて物は現代医学的コンセンサスの無い半ば呪いめいたインチキだろう、というような視点も存在しています。
なにせ鍼灸の受診率は人口の内の5%程度。
その中でも、単に筋肉に鍼を刺して物理的に緩和させるという現代鍼灸と言う物が多くて、陰陽の概念の上に成り立っている東洋思想としての鍼灸はさらに少ない。
そういった状況のさらに先に、鍼を使うことなく気を鍼の代わりにして行うという、点穴の東洋医学が存在している。
物凄いことですよ。
果たして私にそんな高いことが出来る能力があるのかどうか。
だから、現代鍼灸を保険として抑えておきたいところですね、という話をこないだ、同級生としていました。
しかしその一時間後くらいに思い出したのですが、私は前に別の同級生の筋肉が硬直していたのを気功で治したことがありました。
鍼の刺激で痙攣してしまっていたのを、触れずに緩めて治したのです。
そしてもう一つ芋づる式に思い出したのですが、何年も前に師父に点穴の仕方を教わったことがありました。
私は施術家ではなくてあくまで学問として師父から教えを賜っていただけなので、別に拳法を教わったからと言って人を殴らないのと同様、点穴も教わったからと言って無暗に人に施術したりもしていませんでした。
ここで思い出したのを機会に、最近自分に点穴を行っています。
これ、結構効く気がするのだけれども……果たして自分が触れるのが上手くなっているのか、気功で触れられたことに反応して緩めるのが上手くなっているのか分からない……。
今後、機を観て誰かに点穴してみたいと思います。