悲嘆
アメリカでは相変わらず、Qアノンの人たちが愚行を繰り返しています。 昨年行われた調査では、共和党、民主党問わず、40パーセント以上もの人たちが陰謀論を信じているという数字が出ました。 そしてロシアによるウクライナ侵攻はすでに300日を超え、遠からず一年に届きそうになっています。 多くの人を信念を持たず、判断力を養う知能を持たない状態のままにしておいた結果がこの有様だと感じられて仕方がありません。...
View Article新しい鍼
以前に、とても軟らかい銀の鍼を使う授業が終わったということを書きました。 以後、銀鍼に変わってステンレス鍼という物を使う授業が始まりました。 これがすごいすごい。剛度が強いので、スルスルと肉の中に入ってゆきます。 一刺し30秒もかかりません。 仕事で使うならこの速さは確かに必須の物となることでしょう。 しかし、やはりこれでは甘やかされる。...
View Article踊り子と闇の力
百年前に生まれたジョーゼフ・キャンベル教授の偉大な研究における「英雄の旅」と「闇の力」と身体哲学についてこのところ書いてきています。 これらの概念はキリスト教が広まり、キリスト教社会、ひいてはキリスト教世界という物を作り上げることで人々の暮らしの中から消え去ってゆきました。 まさに闇の力は、一神教の唯一の価値である光によって追いやられていったのですね。...
View Article闇の力と性的女神の神話
さて、今回も引き続き、ジョーゼフ・キャンベル教授の仕事についてのお話をしてまいります。 キャンベル教授は当時の時代背景もあって、東洋の神話について言及が至ることが多い。 彼の見解によれば日本の寺社や家屋などは、自然と人工物の境が伺いにくいところが非常にワンダフルだとのことのようです。...
View ArticleA列車で行こう
「A列車で行こう」というのは、有名なスタンダード・ジャズナンバーのタイトルです。 タイトルの由来は、デューク・エリントンが自分の楽団に居たビリー・ストレイホーンに「いまからウチ来いよ。新曲作ろう」と呼びかけたときに、ブルックリンからハーレムを繋ぐ地下鉄A路線に乗ってエリントンの家に行ったからだ、という面白い話があります。 で、このタイトルのシミュレーション・ゲームが昔ありまして。...
View Articleキャンベル先生と陰陽思想
現在我々が無意識のうちに獲得している「感性」とは、キリスト教圏社会によって刷り込まれたいわば洗脳的な価値観です。 そういうことをずっと書いてきました。 それを裏打ちしてくれたのが、ジョーゼフ・キャンベル先生です。 私は長らく、西洋圏の価値観に対して我々アジア人が付き合う必要な必ずしも無く、元々自分たちが持っていた優れた哲学を土台に生きて行けば良いということを提唱し続けてきました。...
View Article気功点穴を思い出す
老師は点穴療法の名人として知られています。 何度か施術されるところを横から見させていただいたことがあるのですが、それは私がそれまで思っていたような「ツボを突いて治す」というような物とはまるで違った物でした。 相手の身体の表面を、指先でちょっと触れてすぐ別のところに移動させ、くるくるっと回したかと思うとまたすぐ別のところに触れて指先でしゃっしゃっしゃっとなぞって、はい終了、というような物でした。...
View Article神話の起源
ジョーゼフ・キャンベル教授の神話学は、人類史の変遷と神話の成り立ちを非常に面白く分析しています。 元々、狩猟採取生活をしていた原始の状態に、神話は生まれたことが洞窟の壁画などから推測されています。 その時代に、世界は円環しているという発想が生まれたというのが教授の説です。 すなわち、すべての命は生まれ変わるという思想です。...
View Article神話学における人としての段階
先に、キャンベル教授の神話学における、狩猟採集生活から農耕生活に社会がシフトしたことで起きた変化について書いたことがありました。 そのような、主体の変化と思想の変化と言う物は、社会に対してのみ起きることではもちろんありません。 個人の中でも同様のことが行われます。 キャンベル教授の言葉を借りるなら、ほとんどの現代人はフロイトの精神分析の段階にあると言います。...
View Article神様とレスリング
神話学の観点からすると、英雄は世界のへそ、と称されるある種の世界の中核に通じる場所から危険な異世界に潜ってゆき、そこで危険を越えた結果、人知を超えたこの世ならざる「闇の力」を獲得して帰還する、という存在だとされています。 それらの英雄たちの中には、格闘技を通して危険な冒険を達成したという人たちがいます。 ここに、神話学と身体哲学の融合が見られます。...
View Article神話学で観る海賊武術
私は平素、自分を功利主義者だと理解しているのですが、キャンベル教授の神話学に知己を得たのち、よりその思いは強くなりました。 私の研究の柱は、仏教の身体哲学の伝播を探るという処にあり、そのためのルートとして少林寺への伝来ルートと、倭寇に至る海賊文化のルートの二つを主要としています。 今回は南の海賊ルートのお話になるのですが、こちら、一見仏教と関係が無いようでも決してそんなことはありません。...
View Article日本の神話英雄譚
世界のへそと言われる場所を通して神話の元型的英雄たちというのは闇の世界に入ってゆき、そこで死の危険を乗り越えて力を得て帰ってくる、ということが神話学では言われています。 この、英雄の旅の入り口がへそになぞらえられているように、英雄の旅は再誕を意味しています。 すなわち冒険は子宮を暗示した場所の中での話になります。...
View Article日本の元型的英雄たち
日本神話には独特の理解しがたさがある、ということを前に書きましたが、逆におとぎ話になると分かりやすい物もあります。 もっとも、キャンベル教授はそのような民話は娯楽として神話が大衆化した物で、神話そのものとは違うのだとしているのですが。...
View Article神話学で観る桃太郎
前回は神話学からみた日本の昔話を紹介しているうちにラーマヤーナに至りましたが、今回は日本のラーマヤーナの正統とも言える桃太郎さんについに触れてみたいと思います。 桃太郎さんの物語における世界のへその先、再誕をする死の世界、闇の子宮は当然鬼ヶ島となります。 そこから桃太郎さんが持ち帰った闇の力は、金銀サンゴと言った財宝、つまり財力ということになりましょう。...
View ArticleEUでメタが訴えられる
EUで、メタ社およびインスタグラムがターゲット・マーケティングによる違法で訴えられているとの報道がありました。 ターゲット・マーケティングとは、見込み顧客のニーズを読み取って適合度が高いコマーシャルを送り込む、という物ですね。 このやり方が、SNSにおいては端末からの情報の盗み出しによって行われています。...
View Article内面性発育不良
以前にも何度か書いてきたのですが、YOUTUBEのレコメンドというのは、実に多様におススメをしてきます。 それまでの視聴履歴などから(あるいはPCの検索履歴などに侵入して)、ユーザーの関心のありそうな動画を勧めてきます。...
View Article飛虎
子供の頃、ジャミラごっこというのをしたことがある人も多いのではないでしょうか。 あの、Tシャツなんかの首の後ろ側の部分、タグのあるところを頭にかぶってやる一発芸ですね。 これを、江戸時代では「ももんがあ」と呼んでいたそうです。 当時の妖怪絵などを見ると、ももんがあと書かれた妖怪の姿がみられますから、江戸の人はももんがあを妖怪だと認識していたことがうかがえます。...
View Article身体哲学における還元の意味
以前に、マルクスから身体文化を書いたことがありました。 進化論から観た時に、人間の身体は樹上生活をしていた霊長類の構造が土台となっており、それが大脳の発達、ひいては神経系の発達の由来となっている、というお話です。 サルが枝から枝へと渡る枝渡り、ブラキエーションというそうですがこの生活習慣が、ある種の二足歩行の土台となりました。 前脚による二足移動ですね。 これで前肢と後肢が分離していきます。...
View Article神でさえ捧げる
我々身体哲学の行者には、身を捨てる、自我を捨てるということが求められます。 これは気功や中国武術と言った、アジアの行だけに求められることではないようです。 元々は世界的にあったのですが、ローマ帝国のキリスト教国教化以降、どんどん彼らの教義に異端視されて塗りつぶされてきました。...
View Articleヴィンケルマンの古代ギリシャ
ローマ帝国以降の白人優位主義社会の広がりについて参考になると、ヴィンケルマンの「ギリシャ芸術模倣論」を阿闍梨から勧められました。 早速読んでみたんですが、芸術についての詳細が多すぎて門外漢には理解が難しい。 しかし、巻末についているヴィンケルマンの友人への手紙を見ると、彼が非常に好ましい学究であるとの共感を抱き、まさに私のような生き方をしている人間の偉大な先人であると理解するに至りました。...
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