先日、鬼師という職業の若い女性がラジオに出演されていました。
鬼師とはなんでしょうか。すごい言葉ですね
これは、鬼瓦を作る職人さんのことを指しているのだそうです。
鬼瓦もご存知ない人もいらっしゃるかもしれません。屋根の外縁の所なんかにある、鬼の顔が彫刻された瓦のことです。
古くから魔除けに使われて来た物だと言い、私の世代だと国語の教科書か何かに乗っていた記憶があります。
瓦職人という職業自体がいかにも珍しいのに、その中でもこの鬼瓦を作るようなお仕事というのは現在極めて希少な物だと思われます。
まず瓦を葺いたようなような戸建てのお家が多くありません。
その中でさらに、鬼瓦で魔除けも設置しようと思う施主さんとなるとだいぶん口が少ないように印象します。
さてこの鬼瓦、私の立場からするととっさに彷彿することがあります。
それは、これのルーツが元々ギリシャの神殿に魔除けとして飾られていたメデューサである、という説です。これはキャンベル先生の神話学の本で読みました。
パルテノンみたいな物を想像した時に、その高い柱の上に、口を開けた人の顔の彫刻があることを思い出した人がいらっしゃるかもしれません。それが魔除けのメデューサです。
映画「タイタンの戦い」でも描かれていたように、メデューサと言うのは恐ろしい魔物であると同時に、その首は斬り落とされた後も魔力を失わず、強力な兵器として活用されています。
エンター・ザ・クラーケンのあの最終兵器怪物クラーケンを倒したくらいですから。
ですので、魔除けとしての意図はよく理解できるところです。
これがシルクロードを通って日本までたどり着いて鬼瓦になったということなのですが、沖縄出身の方には石厳当(せきがっとう)という物に心当たるかたもいらっしゃるかもしれません。
これは沖縄の街並みやお家などにある魔除けです。
私の住んでいる横浜だと、沖縄出身の方の住むエリアなどで見ることができます。
これは石将軍という方が大変に勇猛で霊験あらたかだというので、魔物が通るような道の突き当りに設置することで魔除けに叶うという物だそうですが、やはりメデューサ信仰と風水の文脈を感じることができます。
こういう物は、おそらくユーラシア大陸を通してずーっと見つけることが出来るのでしょう。
鬼師の女性も、鬼瓦のルーツはギリシャのメデューサだと言われている、ということを放送で話されていましたが、キャンベル先生の本に由来する情報かもしれませんね。