百王子たちと神の息子たちの間に軋轢が高まった、ということを前回は書きました。
そんな中、神の子であるアルジュナは、狩りに出た途中で比武招婿(スヴァヤンバラ)に出会います。
これは中国でも行われていたという風習で、武芸者たちに腕比べを行わせて、もっとも優れている物に内の娘を嫁にする、というイベントです。
まさに性的エネルギー信仰における良い精を得るための風習でしょう。
アルジュナたち一族は元々王家の者で、インド武術の師範によって幼い頃より最高の教育を受けています。
神の血と聖仙の血を引いている上に修行も積んでいるので当然そんなものは優勝します。
かくして嫁を引き連れて家に帰って母親に報告するのですが、この母親のクンティーは神様を召喚してセックスの相手にしてたくらいのかなりの豪快な女性なので、アルジュナが「母さん、今日は狩りに出たんですが、ちょっと変わった収穫をしてしまいまして……」と言い出したところ、見もしなければ話もろくに聞かないで「あらそー、みんなで仲良く分けなさい」と雑なおかんの対応をしてしまいます。
一度吐いた言葉は流れた血と同じで、二度と元には戻らない。
このカルマの法則によって、また一族は支払うを背負うことになりました。
アルジュナが連れてきた娘は彼の五兄弟みんなの妻になってしまいました。
ここまでの話は結局何をしているのかというと、カルマの元、彼らの血族がどんどん強力になりながらものすごい数で増えて行っている、ということですね。
さらにはクンティーがかつて川に流した神との間の子供たちまで百王子の元にやってきて王となったりします。
なお、同じくクンティーの息子でアルジュナの兄弟には、大力ビーマと呼ばれる勇士が居るのですが、これ、RRRのあのビームのことです。彼はこのビーマのアヴァターラ(化身)なんですね。
こうして繁殖が広がって行って機が熟した後、とうとう彼等百王子の軍団とアルジュナたちは大戦争に至ります。
ギータ―はその大戦争において、両者が大軍を率いて相対したところから始まります。
ここでアルジュナ王子は、現代人にもわかる優しい心や常識を持っていて、なぜ一族で殺しあう必要があるのかと嘆き、和解を希望します。
しかし、その時に彼の幼馴染であり、親友であり、戦車の御者である優れた戦士クリシュナが「何を女々しいことを言っているのだ。これはカルマの結果であり、それをすべて清算するのがお前の生まれてきた意味が。ここで敵も味方も一族皆を無に帰す大戦争を起こしてすべてを贖うのだ」と、とくとくと彼を諭した内容がギータ―本編となります。
つづく