前回は、不犯の誓いを立てたビーシュマが、弟の嫁たちを高僧たちとまぐわらせることでその血を王家に取り込もうとしたところまでをお話しました。
その案を聴いたかつての漁師の娘である王母は自身の過去を明かします。
実は彼女は王との結婚前に聖仙とまぐわって子供を産んでいました。
仙というのはリシ、すなわち成功した行者、ヨーガの実践者であるヨーギンです。
このお話がヨーガ、気功の威力を通底した身体哲学の思想案内書であることがこの辺りからも感じられます。
この時に産んだ子供もまた修行を積んで聖仙となっていました。
彼女はこの息子を読んで息子の嫁たちとまぐわらせようとします。
聖仙は二人の嫁に子供を産ませ、さらにはこの姫の侍女にまで子供を産ませます。
この時に生まれた子供の一人は、後に異形の出生を経て百人の息子を授かることになり、これを百王子と呼びます。
一方、別の一属であるヤドゥ族という人たちのところに、クンティーという娘が居ました。
彼女はある聖仙に認められて、神々を呼び出す術を教わりました。
すると彼女はどうしたのか。
なんと、神様を呼び出してセックスするんですね。
結果、彼女は神の子を産むのですが、なんとこれをまた川に流してしまいます。
さらに後、このクンティーは聖仙との交合で生まれた王子の元に嫁ぎます。
川に流された子供の因果が同じことをした一族の元に彼女を導いたのですね。
このクンティーと結婚した王子パーンドゥにはもう一人妻が居ました。
この人もまた生まれ持ったカルマのためなのでしょう、もう一人の妻が鹿と交わっているという異類性交の現場を目撃してしまいます。
彼は鹿を射殺すのですが、この鹿は動物に姿を変えた聖仙でした。
動物に変身して他人の嫁さんと性交するというのは非常に受け止め方に困るのですが、本来のアジアの行者というのはそういうこともするのです。我々が思うようなチンケな善悪とかはないのですね。
しかしまぁ、迷惑ではあります。
この迷惑な鹿仙人は死に際に、パーンドゥ王子に「お前も妻と交わったら死ぬ」と呪いをかけます。
こうしてまたこの一族は跡取りに困ることになるのです。カルマの支払いです。
しかしそこは、残ったもう一人の嫁さんが神様を呼び出して一夜のお相手に出来る術を心得たクンティー、またも同じことをします。
まずはダルマ神を呼び出して交わり、その間に息子をもうけます。
次に風神を呼び出してまた交わり、さらに息子をもうけます。
最後に神々の王であるインドラ神を呼び出してまたまぐわって息子をもうけます。これがギータ―の主人公となる王子アルジュナです。
ちなみにインドラと言うのはあの帝釈天のことです。
なお、クンティーは鹿と交わっていた妻のためにもアシュビンと言う神を呼び出してそちらとも双子の王子をもうけさせます。
こうしてこの王家の一属には、聖仙や神の血を引く王子だらけになりました。
しかし、聖仙の血を引く百王子たちと較べて、聖仙と神の二つの血を引くアルジュナ達は圧倒的に優れており、百王子たちの中には嫉妬と敵対心が高まっていきました。
ここまででも、外の血を入れて一族の精をさらに強く高めて行くという性的エネルギー信仰の力強さにくらくらしている人も居るかと思います。
これがアジアです。
我々がいまここにいるということは、必ず先祖の段階でこういうことが起きてきたのです。
そのことを踏まえて聴いていただきたいのですが、次回はさらに衝撃の出来事がおきます。
つづく