今回も「君たちはどう生きるか」のネタバレを続けます。
主人公の前に現れたのは、カヌーのような船を一人で駆る若者で、最初は少年のように見えます。
私はなぜかこういう、一人で海で生きてる少年を見ると胸が高鳴ります。
どろろの不知火もそうですし、未来少年コナンや相棒のジムシィもそうです。また、銃夢のフィギュア・フォアも理想の人物かもしれません。
そういう、荒海で一人で生きられる賢くたくましい少年の登場に自然にワクワクさせられたのですが、すぐにこれが女性であることが分かり、さらにはこの人があの、主人公と一緒に塔に入ったあの煙草の老婆であることが分かりました。
煙草の老婆の精悍な姿は、こちらの世界でのアヴァターラだということは私が理解してからしばしの後、本編中で明言されました。
彼女はここで魚を取り、幻のような、亡霊のような海の民にそれを裁いて売っています。
また、裁いた魚のアラを「わらわら」と呼ばれる群れを成す生物に与えて養っているのですが、このワラワラが重要です。
まっくろくろすけとかこだまのようなキャラクターなのですが、これ、彼女が与えているエサで育つと風船のように膨らんで空に飛んでゆきます。
これが、主人公たちの来た「上の世界」に出て行って、そこで子供になって生まれるという存在なのです。
ね、これ、だから卵胞や卵子とかなんですよ。
であるからこそ、このワラワラたちはみんなは上の世界には行けません。
彼らが群れを成して空に登ってゆくと、それをかぎつけたペリカンの群れがやってきて、ワラワラたちを食べてしまうからなんですね。
つまり、子宮内で原始卵胞たちが生まれ出ることが出来ないってことを、こういう表現でしているんですね。
その描写で、画面中に飛び散る血。
つまり、経血ですね。
しかし、ワラワラたちは全滅することもまたありません。
小舟に乗った少女がやってきて下から炎を打ち上げてペリカンたちを撃ち落とすからです。
主人公は、撃ち落とされたペリカンの一羽と対面することになるのですが、そこでその鳥から、彼らの群れはこの世界にあるとき急に引き込まれたのだと聴かされます。
食べる物を求めて海の上を旅しても、結局世界を一周して同じところに戻ってきてしまう。この島の周りに閉じ込められているのだというんですね。だからワラワラたちが空に昇る夜には食べるしかない。
そして撃ち落とされる。その繰り返しだと言うのですね。
サイクルなんですよ。
女性周期の。
私は最初、ワラワラに向かって飛んでくるペリカンたちを見た時、こうのとりなのかと思ったのですね。
こうのとりがワラワラを咥えて上に連れて行ってくれるのかって。
でも違う。じゃあなんでペリカンなんだろう? と思って調べたら少し関連しそうなことが分かりました。
どうやら、ペリカンとコウノトリというのは元々同じ種類の鳥だと分類されていたんだそうなんですね。
それが、後に学問上の都合で分化されたそうなのです。
つまり、ある種のコウノトリ、別の役割を任された裏コウノトリとも取れるではないですか。
つづく