ステロイドは細胞レベルで生命活動の強化をするということを書きました。
ですので、これを追加することで元々遺伝子が持っている壁という物をぶち破ることが可能な訳ですね。
本来はなるはずがなかった人間になってしまう。ある種の邪進化が引き起こされる。
一般に、いわゆる巨人症と言われる人たちがこれで、頭をぶつけた拍子に脳の視床下部の機能に異常が生じると、成長ホルモンがどんどん出てゆき、2メートルを超えるような巨人になってしまうといいます。
子供の頃に見たビックリ人間の「世界一大きい男性」は、滝から落ちて頭を打って以来身長が止まらなくなったとのことでした。
ホルモンの仕組みで説明いたしますと、脳の中央に位置する視床下部からは「成長ホルモン放出ホルモン」と「副腎皮質刺激ホルモン分泌ホルモン」という物が分泌されています。
成長ホルモン放出ホルモンが視床下部から垂れ下がっている下垂体前葉という部分に伝わると、今度はそこから成長ホルモンが放出されます。
副腎皮質刺激ホルモン分泌ホルモンが副腎皮質に届くと、副腎皮質を刺激してステロイド・ホルモンを分泌するということになります。
ですので、副腎皮質そのものと言うよりも、視床下部の異常によって成長異常は引き起こされるのです。
また、視床下部からは成長ホルモン抑制ホルモンという物も分泌されていて、これによって成長ホルモンの分泌にブレーキが通常はかかります。
ですが、このブレーキが壊れてもやはり成長ホルモンが出続けてしまう。
こういった内部の構造が 人間の新陳代謝を司っています。
病気として、このホルモンの働きが足りない人には、お医者さんからステロイド剤が処方されて外付けでの追加がされることがあります。
もしかしたら読まれてる方々の中でも使われた経験のある方も多いかもしれません。決して特別ではない、一般的な薬品です。
この薬品が処方薬品であるのは、使い方が重要だからです。
お医者さんの監修の下でちょうどよく使うのではなく、使い続けるならやはり副腎ホルモンの過剰供給となり、ドーピング状態に至ってしまいます。
この薬品の取り扱いについては、よくある事故が知られています。
というのは、このステロイド剤、軟膏で処方された時に背中などには塗りにくい。
そこで、ご家族などが塗ってあげるというのですね。
となるとどうなるか。
軟膏ですので、皮膚から侵入してゆき細胞レベルで機能します。
つまり、ステロイドの投与を必要としていた本人ではなく塗ってあげたご家族にも効いてしまうことがあるのだそうです。
それだけなら「なんだかうちの奥さん最近いやにマッチョになってきたなあ」で済む話かもしれません(注・すみません。お気をつけて!)。
本当に怖いのはそこからです。
つづく