筋トレ系の動画を良く観ていると、女性のフィットネス動画も沢山推奨されてきます。
ボディ・コンテストで優勝するようなモデルさんから、ボディ・ビル大会を目指す方、また日常的なダイエットを目標としている主婦の方から、本格的なスキル系キャリステニクスをされるかたなど、色々なタイプのトレーニーを目にすることになります。
それらの方の中には、自分自身がトレーナーを職とされて居る方もいらっしゃって、自身のお身体をお手本に具体的なトレーニング方法のレクチャーをされて居る物もあります。
ある動画では、トレーナーの方がダンベルを使ったエクササイズを紹介されていました。
特に肩の三角筋を狙った物で、この部分の発達がセクシーな女性のボディ・ラインを作るということでした。
確かに、細身の女性が三角筋とシックスパックを磨き上げているというのは、女性トレーニーの一つの理想形だと思います。
ボディ・コンテストに出るような鍛え方なら大腿部を鍛え上げたりするのでしょうが、一般女性のボディ・メイクとしてはいささか過剰になりすぎるきらいがあります。
私も腹筋が割れて三角筋が発達した女性と付き合っていたことがあるのですが、やはり非常にセクシーであると感じました。
そう言っといておかしな話ですが、私自身もかつてはそれに近い身体をしていました。身体は細く、軽めのダンベルで肩回りを鍛えていた。
だからこそ分かるのですが、このタイプの鍛え方こそが、まさに女性向けの鍛え方、だと感じています。
このようにして作った身体は純粋にルッキズムのための物で、本物の強い男の肉体とはかけ離れた物です。
確かに、ボクシングではもっともKOに繋がる筋肉は三角筋だと言われることがあります。
しかし同時に、パンチの中で最もKOに繋がる物は左フックだという話があります。
いつも書いているように、パンチと言うのは当て方でこそ相手が倒せるものであって、単にバカ力が通じるというような甘い物ではありません。
前手となる左フックが死角から急所に入りやすいということがポイントなのであって、筋肉の断片的な大きさのお話はあまり関係がないと言って良いでしょう。
ヘヴィ級のボクサーを観てみれば、全身の筋肉が巨大でどこか一つだけが特別ということはありません。
また、レスリングの選手の中にはたまに巨大なメロン肩を持つ選手が居ますが、これはスパーリングの中で鍛えられてきた物でしょう。
レスリングではネック、ショルダー、アームを中心とした力を使うために、選手はそれらに強いストレスを与え続けることになり、結果肩が肥大することがあります。
特に背の低い選手は身長に比べてこの発達が著しいため、凄まじい逆三角の体型に見えることがあります。
対して、巨漢の多い相撲の選手にはそのようなメロン肩はあまり居ないように思います。
それこそがアジアの強い男の肉体。
日本のお相撲でも、モンゴルのブフでも、西洋的な逆三角マッチョはあまり見ません。
塊のような肉体が多い。
鉄牛耕地や臥虎功などの練功をしていると、うまくいくと広背筋の辺りに刺激が入ります。
そうすると、肉がはさまって脇が閉まらないような体型になります。
それより上にある三角筋よりも、こうして体幹に力が集まります。
上述したダンベルを活用した三角筋のトレーニングを「女性向け」としたのは性差別的な目的があった訳ではありません。
それが、実際に使う訳ではなく、ルッキズムを目的としているのなら適していると言いたかったからです。
もし、実際に強力な威力を求めてそのようなトレーニングを突き詰めたなら、確実に肩を傷めることになるためです。
肩関節は可動域の広い球関節で、そのためにデリケートな沢山の筋肉によって支えられています。
これらの筋肉は可動域を保持するために線維が細いので、非常に傷つきやすい。
よって、これらを鍛えて主動力として使おうとしても、あきらかに他の筋肉より耐久性が低くて故障をしやすいのです。
肩関節が物凄く脱臼しやすいことはよく知られているかと思います。
私自身もまた、試合中にパンチを空振りして肩関節が外れたキックボクサーやブロックをした時にそのまま肩が外れてしまった選手を見たことがあります。
さらには、鍛えるまでの間にトレーニングそのものの強度で故障することも多々あります。
ですので、あくまで三角筋を強調したトレーニングは人に見せるための物、本当に機能が欲しいなら他の部分を鍛えることをお勧めします。
もちろん、フィジーク的な鍛え方やモテることを目的としたトレーニングならぜひ発達させると良いと思います。
私自身も、健康に抵触しないのならぜひ鍛えたいくらいに、三角筋の発達した体型はかっこいい。