以前に引用した、伝説の日本人ボディ・ビルダーのドーピング疑惑について語っていた方は、本人自身20年を超える使用歴のステロイドによるドーピングをしているというトレーナーでした。
体重は110キロを超えていて、腕周りは60センチ以上、日本記録の持ち主だということでした。
この方は「自分は20年以上の使用歴があって何もかも分かっているから自分のところでパーソナル(トレーニング)を受けてステロイドを使えば安心だ、と豪語をされており、他の奴らは分かってないから死にかけるんだ、と嘯いていました。
その割には「有料級」だというステロイドへの安全対策が、納豆やトマト酢で血液をサラサラにすることだったり、サプリメントを飲むことだったりして、かなりそこが浅い印象だったのを覚えています。
ホルモンの投与による負のフィードバックから、自分自身の身体がホルモンを分泌できなくなるという最大の害については何も語っていなかったように思います。
上のようなことを語っていた動画から五か月後、この方が亡くなっていたのを知りました。
死の二か月くらい前から、この方は体調が悪いのでということでステロイドを減らして行っていることを語っていました。
徐々に減らして行って、最終的にはまったくなくして行くという過程でどんどんやせ細ってゆき、そしてついにはなくなってしまいました。
おそらく、ステロイドを減らしたことが死の直接の原因だったのではないかと思われます。
外部から投入されるステロイド・ホルモンによってようやく体内のホルモン・バランスが取れていた物が、外部投与が無くなったことで自主分泌もされず、ホルモン不足に陥ってホメオスタシス(身体の恒常性)が取れなくなってしまったのでしょう。
このような事象について調べると、私がまだ格闘技をしていた頃に知っていた選手たちもまた、ドーピング検査に引っかかっていることが分かってきました。
本当に、ショー・スポーツの世界では非常に多くの人がこの薬物を使っているようです。
だからこそ、そのようなことが当たり前のフィットネス業界に対して、ポール・ウェイド先生は「ウェイト・トレーニングの花形トレーニーたちの身体はみんなステロイドで作った物だから真似するな。自分の身体を大切にして自重で鍛えろ」ということを言っていた訳です。
彼は、ステロイドを出すなら別の方法を考えろと言っています。
その一つは睡眠です。
何しろ、成長ホルモンが最も分泌されるのは睡眠中ですから。
そして、我々少林拳はさらにその上を行きます。
睡眠中と同じく成長ホルモンが分泌されるのは、瞑想をしている最中です。
禅の修行として運動をするという少林拳は、それ自体が非常によくパッケージされているということが改めてよく理解できます。