気功と言うのは、中医学の根本にあるものです。
鍼灸も推拿(マッサージ)も、気の流れを読んでそれを治すことで治療をするものです。
なので本朝では国家試験としてこの気のプロフェッショナルが認定されていると言えます。
この気功、人間の体と心を繋ぐものを重視していて、多くの病状が「七情失調」、つまり、感情によって引き起こされる物だと診断します。
ですので、足りない感情を補い、過剰な感情を抑制することがその治療の基本的なポイントになるのですが、これ、難しいですよね。
つまり、先に書いた癌の患者の方のような方は「じゃあ俺が病気になったのは俺の性格が悪いからなのかい」と思われかねません。
でも、そういう見方をするのです。
ですので、気功でこれら感情を平均化することを治療とします。
つまり、瞑想とは治療なんですね。
この時に、間違って感情を乱してしまうと大ごとになります。
これを偏差と言うのですが、ノイローゼが起きます。
この辺りは白隠禅師が禅の修行に間違った取り組み方をした結果、禅病(ノイローゼ)になった物の、道士から気功を教わって直したというゆきさつが有名です。
私も禅師当人の書だという「夜船閑話」で読みました。
このノイローゼ、当然気功によって力を出している中国武術でも起きます。
というか、大変多く起きます。
日中国交回復直後の中国武術家の先生たちがみんな、頭がおかしくなったり脳が原因で早くに亡くなっているのは無関係ではないと私は思っています。
師父の処に初めて教えを請いに行った時も、まずそのことを話されて、偏差を防ぐための心得から修行がはじまりました。
つづく