前回は偏差による精神疾患について書きましたが、実はこれは精神だけの問題ではありません。
精神疾患は、生理学的にはいくつか原因が考えられるのですが、その中には神経の失調によるものがあります。
統合失調という物が精神疾患では有名ですが、これ、大脳にある統合能力が失調している訳です。
つまり、神経機関の病、脳やせき髄という神経の病なんですね。物理的な物です。
気功は心と体を繋ぐ部分で病を観ると書いたのはそういうことです。
脳や神経がおかしくなった結果、歯茎が腐って全部歯が抜け落ちたと言う人の話を聴いたことがあります。
自己流で仙人になろうとして気功をした結果だそうです。
いや、もうそれは、その前からちょっと狂っていたんじゃないかという気もするのですが。
オカルト関係のいい加減な本などでなまかじりに気功の真似事をするとそういうことになる。
私が師父についた後の話もしましたが、教わったことの練功に間違いや過剰があっても同様のことが起きます。
だから私たちは、本当のことを教える相手を絞っているのですね。
それが守れない人だと、結局歯が抜け落ちた人や白隠禅師と同じ、自らを破滅させるために修行をするというようなことになってしまう。
なのでまず、きちんと偏差への対応法を伝えて、それが出来て、用法要領を守れる人にしか教えられない。
「効果が無い物なら安全なのでいくらでも渡すが、効果があるのだから危険なのでみだりには渡せない」というのは中国人老師のお話です。
私と師父がかつて教えていた生徒さんの中にも、白血病を患った方がいらっしゃって、その方のこともこの時に師父は名前を出していました。
その方はバブル世代で日本に伝わったばかりの気功に目をつけて教室などを開き、だいぶん羽振りよくやっていたようですが、私たちの見たところでは決してきちんと出来ている訳ではなく、もっとも致命的なのは人格を高めるための哲学の教えを修行していないのが明らかなところでした。
口八丁手八丁で要領よくやって上辺を取り繕っていれば、自分の利益は掠め取れると考えているタイプの方だったのですね。
私には、この方もまた、人格と病が無関係だとは思えませんでした。
つづく